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文芸時評
宙づりのルーティン化した空虚さに深く身を晒す──重層化された「わたし」が蠢動する「トゥンブクトゥ」(山下澄人『文學界』) 吉田文憲
「大きな力」はそこへ帰る者を受け入れ、拒絶する――土地が持つ治癒の力と、禁忌の場所を渡ってゆく危うさを象徴する「獅子渡り鼻」(小野正嗣『群像』) 吉田文憲
中上健次に見えていたものが、いまのわたしたちにもようやく見えてきた──中上健次再発見ともいうべき強い衝迫力が漲る「秋幸または幸徳秋水」(柄谷行人『文學界』)  吉田文憲
奇妙な感触を残す魅力的な作品群──瞬間が瞬間のままに、百年、千年という時間が流れ去る「mundus」(川上弘美、『新潮』) 吉田文憲
過去の伝説と現在が円環をなす──熊野・波田須に伝わる徐福伝説を下敷きとした「西暦二〇一一」(松浪太郎、『文學界』) 吉田文憲
廃墟の上に降りしきる「灰」、燃え尽きたもののしるし・かたみ──廃墟の時間の中で生きるものたちへの深いレクイエム「火山のふもとで」(松家仁之、『新潮』) 吉田文憲
記憶はどこかフィクショナルなものを孕んでいる――分離したものの回復不可能な喪失の物語「悪い双子」(前田司郎、『文學界』) 吉田文憲
緩慢さは、反復する目にも止まらぬ日常の速さ――天性のものとしか思えない独特のテンポとユーモアがある「東京五輪」(松波太郎、『すばる』) 吉田文憲
私はなぜここにおり、そこにいなかったのか――人も物も偶然と必然のあわいをさまよっている「わたしがいなかった街で」(柴崎友香、『新潮』) 吉田文憲
「私」を超えて生きるもの――霊気のような未知の力にふれようとしている「見おぼえのない女」(谷崎由依、『群像』) 吉田文憲
「憑く」ものと「憑かれる」もの――その不快さに、不穏さに、深く魅せられる「二度めの夏に至る」(古川日出男、『新潮』) 吉田文憲
「制御できないもの」をめぐって紡がれる物語――以後の「いま」を生きることを描く「迷宮」(中村文則、『新潮』) 吉田文憲
出来事に横領される物語――複数の声と物語が交わる場所を用意する「ヒグマの静かな海」(津島佑子、『新潮』) 内藤千珠子
名づけえない関係を求めて――誰が来ることも拒まない場所に生みつけられたつながりを描く「虹色ノート」(木下古栗、『すばる』) 内藤千珠子
距離を手がかりとして日常を見返す――さながら近代小説の時空が回帰したかのような「共喰い」(田中慎弥、『すばる』) 内藤千珠子
決して特別でない一瞬の価値――物語の特別な主人公になろうとすることの危うさを問題化する「来たれ、野球部」(鹿島田真希、『群像』) 内藤千珠子
居場所をめぐる切実な問いかけ――関係に支えられた居場所を織るための方途が模索された一篇「パトロネ」(藤野可織、『すばる』) 内藤千珠子
視線の暴力を組み換えるために――女性の身体、病う身体をめぐる境界線を挑発的に描き直す「癌だましい」(山内令南、『文學界』) 内藤千珠子
職場という環境を書くということ――負の構造を直視する力を与えてくれる「いこぼれのむし」(小山田浩子、『新潮』) 内藤千珠子
世界に対する異和を言語化する――物語の魂を言葉の上に現前させたかのような「石飛山祭」(石牟礼道子、『群像』) 内藤千珠子








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1位 マチズモを削り取れ
(武田砂鉄)
2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
(山下賢二)
3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
(村上春樹)
■新潟■萬松堂様調べ
1位 老いる意味
(森村誠一)
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3位 もうだまされない
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