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評者◆添田馨
〈嘘〉は戦争につづく道(4)――“腐敗の文化”がこの国の政治の土壌に根付いたのではないか
No.3622 ・ 2024年01月06日
■はたしてわが国の政治体質のこれがスタンダードなのか分からないが、ずっと以前から私が疑問に思ってきたごく初歩的な問いを再確認したい。つまり、それは国会内で多数派の政権政党ならば、法律違反が強く疑われることがあった場合でも、数の力をもってその政治責任への追及を不問に付すことが許されるのかということである。私が念頭においているのは、自民党の特に安倍派や二階派を中心にいま捜査がすすんでいる、政治資金パーティーをめぐる「裏金疑惑」のことである。
ごく基本的な事実についてだけ、ここではおさらいしたい。この「疑惑」が発覚したことで、立憲民主党が内閣不信任決議案を衆議院に提出した。同決議案にはすべての野党が賛成票を投じたが、自民・公明の政権与党の反対でこの不信任決議案は否決された。以上である。 つまり法律違反の事実が問われているときに、それを多数決によって公的に否決したのである。「否決した」ということは、責任を認めないということである。正当な国政選挙で選出された国会議員が、みずからの違法行為への責任を、多数決という民主的な手続きによって無効化したのである。このきわめてシンプルで、かつきわめてグロテスクな構図は、いったい何を意味しているだろうか。 私は、これが権力の腐敗ということの核心部分だと考えている。“数の力”によるこれは専横いがいの何物でもない。 安倍一強政治がつづいた結果、議員個人の責任が問われるケースは、選挙違反など個別に立件・起訴された事案にほぼ限られてしまった。逆にいうなら、立件・起訴されない限り、何をやってもいいという“腐敗の文化”がこの国の政治の土壌に根付いたのではないか。三年前、安倍氏が当時の東京高検検事長の定年延期にあれほどこだわった理由も、これと同根の理由によるものと思われる。検察のトップを配下に抑えることで、不正をやりやすくしようと画策したのでないなら、果たして何だったのか。 (続く) |
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