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評者◆添田馨
改憲という亡霊――亡国に至るを知らざれば即ち亡国⑨
No.3585 ・ 2023年04月01日




■前略 岸田総理殿。はじめてお便りいたします。先の第90回自民党党大会での貴殿の演説内容を読ませていただきました。党内バランスを崩すような言動は差し控えねばならぬ配慮もあってか、内容はじつに当たり障りのない総花的なものに映りました。私は貴殿のこの演説そのものにコメントする気はまったくございませんし、そもそも興味もありません。ですが最後のほうで「憲法改正」について言及されている点に関しては、「岸田さん、お前もか」との落胆を禁じ得ませんでした。こう言っては失礼ですが、岸田総理、貴殿はどこまで本気でおっしゃっているのでしょうか?
「子供たちに、日本を着実に引き継ぐため、憲法改正にも取り組んでまいります」とは、まったく意味が不明です。「憲法改正」をやらないと「日本」を未来世代に継承することができないという論理自体がすでに嘘っぽくはないですか? それに憲法改正「にも」という付随的な言いかたをされていることも、私のこの疑問を増幅させます。この国を1945年の敗戦から80年近くにわたって支えてきたのが私たちの日本国憲法です。「子供たち」に「日本」をつないでいくなら、この憲法を守り抜くことを通してなのだというなら分かります。ですが、貴殿はまったく逆のことを言っています。
 この憲法には、いわば立法事実にあたる歴史的背景がありました。私はいかにも取って付けたような貴殿のこれらの言葉には、それに代わるどんな経験的な裏付けもないのではないかと疑うのです。「時代は、憲法の早期改正を求めていると感じています」との貴殿の弁には、明らかに嘘があると思えてなりません。
 名前はあえて出しませんが“改憲マフィア”のような人々と、貴殿は一線を画していると私は思ってきました。そういう人たちにしてみたら、「憲法改正」に取り組む貴殿の姿勢はヘナチョコに見えるでしょう。でも野球の下手なことがバレても恥じることはありません。これからもずっと貴殿にはヘナチョコでいて欲しいと願うのです。
(つづく)







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