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評者◆添田馨
改憲という亡霊――亡国に至るを知らざれば即ち亡国⑧
No.3581 ・ 2023年03月04日




■自民党と統一教会の尋常ならぬ癒着関係が、安倍元総理の銃撃事件を契機として曝露されて以降、私のなかでそれまでどうしても解けずにいた疑問が、徐々にではあるが分かりかけてきたという感触がある。それは、自民党内のとくに清和会の流れをくむ者たちと統一教会という宗教団体が、なぜにこれほどまで親和的でありつづけたのか、ということに関わるものである。戦後ながい期間にわたって政権与党の地位にあった政党が、あろうことか自国の憲法をこれほどまでに憎み、一貫して「自主憲法制定」つまり「改憲」という名の“憲法破棄”を標榜しつづけることの謎についても、あの銃撃事件は間違いなくひとつの展望をあたえる出来事だった。
 つまり、その究極的にめざすところの目的意識において、両者には相通じる気脈めいたものがあったのである。ひとことで言うなら、それは“日本”という私たちの国や社会を丸ごと“乗っ取る”という途方もない政治的野望が、そこには共有されてあったと考えられるからなのだ。
 安倍氏は生前に「憲法とは国のあるべき理想を述べたもの」だといった旨の答弁を、国会という場で堂々と披瀝していた。だが、言うまでもなく、これは間違いである。憲法は国家の行動を縛る唯一の権力源泉なのである。にもかかわらず、安倍氏の頭脳のなかでは、憲法こそが国の理想を述べたものと考えられていたならば、彼やその会派が中心となって推し進める「憲法改正草案」の中身が、自分たちの考える「理想」だけを並べたものになるのは目に見えており、それを国家の最高法規の地位にすえることができたなら、それは「憲法改正」という手段による、私たちの“日本”の完全掌握つまり“乗っ取り”が成就する瞬間を意味したであろうことは想像に難くない。その尻馬にのるかたちで、安倍シンパの政治家たちへの浸透を選挙協力という手段で画策し、その影響範囲を広げようとする統一教会においては、もはや何をかいわんやである。
(続く)







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