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評者◆住本麻子
必要な前提として:布団という葛藤を肯定し、その先へ――
布団の中から蜂起せよ――アナーカ・フェミニズムのための断章
高島鈴
No.3581 ・ 2023年03月04日




■表題からして、まずもって「布団」と「蜂起」という言葉がぶつかりあう。蜂起というのは強い言葉だ。命を落とす危険と命を奪うかもしれない恐怖を越えて、それでも立ちあがってきた人々の積み重なった屍体を負うた言葉である。それを布団の中から? 承服しかねる言葉を思い浮かべながらもこの本を開かずにいられなかったのは、「アナーカ・フェミニズムのための断章」という副題に惹かれてのことだった。
 アナーカ・フェミニズムとは、アナキズムとフェミニズムの両方を取り入れた考えかたである。国家と資本主義に対抗し、革命を志向するアナキズムと家父長制や性差別・ジェンダー規範に反対するフェミニズムをドッキングした思想であり、運動である。しかしそのアナキズムとフェミニズムは実はあらゆる意味でかちあっている。アナキズムはその運動の中でしばしば女性差別的であった歴史があるし、またフェミニズムは女性差別以外のイシューに対して鈍感になることがある。双方とも十把一絡げにくくれない思想であり、すべてのアナキスト、フェミニストがそうだとは言えないが、それぞれが抱える問題には違いない。だからアナーカ・フェミニズムとは語義矛盾のような言葉なのである。
 しかし著者はきっぱりとアナーカ・フェミニストを名乗っている。そんなことがで...







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