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評者◆秋竜山
二人で嘘笑い、の巻
No.3564 ・ 2022年10月29日




■私が子供の頃、母によく嘘をついた。私のついた嘘を母はすぐみやぶった。私は「お母ちゃん、これは嘘じゃないよ」と、いうと「そういうことじたいが、嘘というものだよ」といった。いくら私が「嘘じゃない」といっても、母は笑って「嘘つきはドロボーの始まりだよ」と、いった。母も「子供の頃、おばあさんによく聞かされたものだよ」といった。そういういい伝えは、いつの時代でもいわれたもののようである。
 片田珠美『自分のついた嘘を真実だと思い込む人』(朝日新書、本体七六〇円)では、
 〈第一章 あなたの隣の迷惑な嘘つきたち
――誰でも一度は嘘をつく
――嘘には二種類ある
――「ええかかっこしい」という心理
――嘘自体になっている人
――息を吐くような嘘をつける人もいる
 第二章 なぜだまされてしまうのか
――どんなふうにだますのか
――良い印象を与えるか
――さも有能そうに装う
――自慢話は眉に唾をつけて聞くべき
――一見「いい人」
――お世辞やほめ言葉の裏にある心理
――人は真実なんか知りたくない。
――嘘を見て見ぬふりをする心理
――疑わしい夫と我慢しつづける妻
――重い副作用を申告して
――だまされやすい人の特徴
 第三章 「あえて言わない」という嘘つき
――不都合なことは言わない
――継父と思っていた人が実父だった母の嘘
――人に与える傷が大きい「不作為の嘘」
――夫が隠れて実家の朝食を食べに行っていた夫嘘
――病気を隠していた夫と姑の嘘
――会社に行っているふりをしていた夫の嘘
――浮気を否認し続ける夫の嘘
――妻の「浮気」を責める夫の嘘
――義理の息子を排除しようとする妻の嘘
――イネイブラーが嘘を長続きさせる
 第四章 精神科医でも嘘を見破れない理由
――薬ほしさに嘘をつく患者もいる
――性善説の限界
――嘘には恐怖がつきまとう
――嘘をついていないのにおびえてしまう人もいる
――嘘は至る所にある
――嘘つきの敵失を待つ
 第五章 嘘を見抜くための「プチ悪人」のすすめ
――まず疑うこと
――「はい」か「いいえ」を求める
――否定形で聞く
 第六章 もしも相手の嘘に気づいたら
――なぜ嘘つきは増えたのか
――あきらめられない人の増加
――信頼できない人とはきっぱりと別れる
 「誰でも一度は嘘をつく」
 生まれてから一度も嘘をついたことがないという人はいないだろう。誰でも一度くらいは嘘をついたことがあるはずだ。「嘘をついたことなんかない」などと自慢する人がいたら、むしろうさんくさい人物なのではないかと、私は疑いのまなざしを向けるようにしている。それでは、嘘とは何か? 事実とは違うこと、自分が抱いているわけではない意見、自分が感じてもいない感情を、あたかも本当であるかのように話して他人に信じさせることだ。(本文より)〉
 妻がいった。「あなた、きのうはどこへいったのよ、お隣のおくさまが、「おたくのご主人を、あるところで見たわよ」」。私は妻にいった。「お前のいたところを、あるところで見たぞ」。妻がいった。「あなた、まさか浮気しているんじゃないでしょ」。私はいった。「バカ!! 俺にそんなことできるか」。すると妻がいった。「そーよね!! あなたにそんなことできるわけないわよね」。私がいった。「俺をバカにするな」。妻が「そーよね、あなたに、そんな嘘をつけるわけがないわよ、ね」。そして、二人で嘘笑いをしたのだった。まいった、まいった。







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