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評者◆秋竜山
笑い声はおめでたい、の巻
No.3563 ・ 2022年10月22日




■私の家のおとなりのおばさんの家は、近所の人たちが深夜おそくまでねむくて眼をこすりながらもーろうとしながら笑いころげている。その笑い声につられて、みんな家にあがりこんで笑った。そんな大笑いが、まい晩くりかえされる。私は、プロの漫画家であるから、漫画で笑い声を文字で表現する。どう表現したらいいか。「アハハハ」とか「オホホ」とか、「ゲラゲラ」もあり、「クスッ」というのもある。そして笑い声のする家には人々があつまる。若い娘さんは、年頃になると、ハシがころがるのさえ大笑いするという。ところが若い男性は笑ったりはしない。バカバカしくて笑えるかというと、やっぱり、笑っている。声にはださないで腹の中で笑っているのである。笑いというのは、笑うたいしょうを上からめせんである。昔の江戸川柳にあったが、若い娘は食事中に持っているハシが、ころがっただけで笑うのであるという。男性は笑わない。だからといって怒ったりはしないのである。それを見ていっしょに食事している女房が「あんたってバカねェ」といって大笑いする。いずれにせよ笑い声はおめでたい。亭主が女房にウチワと、一升マスをもってこさせて、「このウチは、マスマス大はんじょう」と、みんなの前で、おどけてやってみせる。笑っているみんなは、笑っているが、「バカなヤツだ」と腹の中でおもっているのである。
 植西聰『「笑いの力」で人生はうまくいく』(ゴマブックス、本体一二〇〇円)では、
 〈第一章 「笑い」には、ポジティブな力がある
 第二章 すべては「笑顔」でうまくいく
 第三章 「笑いの力」で若返る
 第四章 「笑いの力」で健康になる
 第五章 「笑いの力」で前向きになる
 第六章 「笑いの力」で楽天的になる
 第七章 「笑顔」で喜びを表現する
 第八章 「笑いの力」で人間関係が良くなる
 第九章 「笑顔」で、人と助けあっていく〉(本書より)
 よく考えてみると、私はあまり笑わない。たとえば、夜中などで、あったまったフトンの中でも笑わないのである。泣く、ぼやくけど、よくあったまったフトンで夜中に笑ったりしない。江戸の川柳にある。大ぜいでフトンの中で屁をひったら、みんなで大笑いするが、一人の時は自分のひった屁で大笑いなどしないのである。それは自分のひった屁は笑ってないで、その臭さを、かけぶとんをパタパタやって、そとへにがすのである。それを見た女房がおお笑いした。私は、むごんで、女房のフトンをパタパタやって、臭いにおいのするフトンの屁を外へにがした。女房は、「何をだまって、私のフトンをパタパタやるのよ」と、おこったものの、そのあと大笑いした。私は、「お前の屁はオレの屁よりも特別に臭いんだもの、しかたがないだろう」と、いったら、その夜は女房とフトンの中で朝まで、屁の臭さのことで大笑いをした。
 まいった。まいった。







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