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評者◆真夏日和
戦後77年の8月15日に読み終わったことにたぶん意味があるように思いたい。
戦争抵抗の倫理――大戦期アメリカの良心的戦争拒否者たち
師井勇一
No.3560 ・ 2022年09月24日




■今日は第二次世界大戦が終わって77年たった8月15日、戦争について何も知らない世代がこれだけ増えて、知らないからと背中を向け続けることはもう、出来ない世の中になってしまっていると思う。
 アメリカでは良心的戦争拒否者たちがいたことをこの本を読んで知った。宗教的な考えで戦争を拒否していた若者たちが少なからずいて、その人たちはつかまったり、拷問をうけて死んだひともいたことは小説じゃなくてもあり得ることだとは思ってしまった。
 戦争拒否者といえば、丸谷才一『笹まくら』を思い出す。全体主義国家では逃げることしか出来なかったのか、大日本帝国ではたぶん良心的戦争拒否者なんて許されるわけなかっただろうと思ってしまった。
 日本とアメリカはそういう意味でも全然違う。
 日本は作者も書いていたけど、赤紙が来てなにも言えなくて戦地へ行ったひとたちがめちゃくちゃ多かったんだろうなって考えてしまう。
 『笹まくら』では主人公は逃げたけど本当にそういうひとがいたのか調べてみたいと思った。
 宗教のことも最近ずっと考えてしまう。
 日本人は無宗教と一概に言えないのは最近世間を騒がしているニュースでもよくわかることだ。
 初期のアメリカの良心的戦争拒否者はクェーカー教徒が多かった。
 神か国家のどちらを選ぶかとしたら神で、戦争には絶対参加しないと決めてその代わりの労働なども拒否した学生たちのはなしとか、本当の民主主義のために自分達の出来ることとかちっとも考えたことがなかったかもと、読み終わって改めて付箋をたくさん貼ったところを見返している。
 戦争が遠い世界の出来事だったときはもう終わってしまったと思う。
 ウクライナ戦争やシリアの内戦などまだまだ紛争は世界のあちこちで起こっているし、これから何が起こるかわからない。
 でも、私たちにはとめることも出来ると思う。
 反対することは出来ると思う。
 アメリカの例を読んできたわけだが、全体主義におちいらないように声をあげてひととつながって戦争を回避する行動をとることはまだまだ出来るって思えた。
 自分の考えを確認することができたよい読書でした。







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