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評者◆秋竜山
ネコのフンの話、の巻
No.3558 ・ 2022年09月10日




■子供の頃、家でネコをかった。それは夜中になると、てんじょううらでネズミがチュウチュウなきながらゴソゴソ音をたててあばれだすからだった。その音にいち早く反応するのがネコであった。どこをどうつたわっていったかわからないが、ネコのすがたにネズミは急に静かになったのであった。そういうこともあって、どこの家でもネコをかっていた。と、いうことは、どこの家のてんじょううらにもネズミがいたということだ。
 私は子ネコをかった。子ネコが親ネコになると、私は夜ねているフトンの中へいれて、いっしょになってねたのであった。冬などはネコをフトンの中へ入れてダッコしてねると、あたたかく、ノドをゴロゴロならして、だきついてきたりした。ネコは何を思っているかしらないが、私はかわいかった。まさかネコにおまえはどう思うかなどきくこともできない。フトンの中でおとなしく一緒に寝ているところをみると、きっと、いやではなかったと思う。
 すると、てんじょううらでネズミがあばれだすと、アッというまにフトンから飛び出し、てんじょううらのネズミをつかまえて、フトンの中へ持ってきた。私は「ワッ!! 何てことをするんだ、そとへすててこい」と、どなった。ネコはいちはやくつかまえてきたネズミをそとへすてにいった。当時はどこの家にもネズミがてんじょううらにいるので、そのためにネコをかっていたのであった。もし、家にネズミがいなかったら、ネコをかったかどうかはわからない。村中の家にネコがいてネズミがいた。
 ネコはくんれんしてやると、そとで前足で穴をほり、その穴の中にフンをして土をかけていた。はたして、犬はそんなことをするだろうか。散歩などで首輪をしてつれていった。すると、電柱に片足をあげておしっこをする。時にはオシッコやウンチまでする。オシッコの場合はできないがウンチの場合は前もってフクロを持っていてそれにきれいにいれて家に帰ったのである。犬の場合は首輪につないでいるが、ネコはそんなことはない。ネコを散歩につれていって犬のように首輪につないでいくかというと、そんなことをする人など見たことがない。それでも、ネコは庭の雑草の中へフンをする。ネコのフンはきょうれつにくさい。私は、そのネコのしたフンを棒の先でつまんですてる。自分のフンを穴にうめるネコのはずなのに、そんなことはしない。いったいどこのネコなのか。「ワッ!! またやらかした」と、ネコのかいぬしにきこえるような大きな声をだす。ネコのかいぬしは聞こえたか聞こえなかったのか。まったく困ったものである。
 西林克彦『わかったつもり――読解力がつかない本当の原因』(光文社新書、本体七〇〇円)では、
 〈子ねこたちが、もし、違うところにもらわれていったら、大変なことになっていたのではないかなどという話にもなります。たとえば、しろがかどのおかしやさんにもらわれていっていれば、ねずみが来るようなところでの店番は、とてもできないのではないか、といったことです。〉(本書より)
 ネコには三月産まれのミケ猫がいいといわれています。なぜ、そうなのかよくわかりません。誰がいいはじめたのかわかりません。多分、自分の家の猫が一番かわいいからでしょう。まいった、まいった。







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