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評者◆秋竜山
私、いま天国にいるの、の巻
No.3548 ・ 2022年06月25日




■天国と地獄がある。人は死ぬと、どちらかへ行かなければならない。天国は天に昇天するといい、地獄は地獄へおちるという。人は死ぬと、どちらにするのか選択するというより、選択させられるのである。「私は、天国でもない地獄でもないところへ行きたい」と、思ったとしても、天国と地獄しかないのであって自分の思い通りにはなれないのである。「私は天国でもない地獄に行きました」と、いうことを聞いたことはない。そんなところをみると、やはり人は死ぬと、天国と地獄にふりわけられるのだろう。そして、生きているうちに天国と地獄へ行くということもできないし、行ったということも聞いたことがない。天国か地獄のどっちかを自分で選ぶこともできないし、自分では決めることはできないのである。そして、どちらへ行きたいのかというと、誰もが天国を希望できるものではない。午前中に良い行いをした人は天国へ、悪いことをした人は地獄へ、これは自分の思い通りにいかない。そして、地獄という所は恐ろしい所であり、誰もが希望するところではない。「私は地獄へ行きたい」などという人を聞いたことがない。黙っていれば、どちらかを決められてしまうし、「今、私は天国にいます」とか「地獄にいます」など連絡もできないのである。私は、死ぬのは怖くないが、天国と地獄のどちらかへふりわけられるのが怖いのである。
 古代ミステリー研究会編『日本の成り立ちが見えてくる 古事記99の謎』(彩図社、本体六四八円)では、
 〈日本神話には、予想もつかないような展開や描写が多いが、他国の神話もそれに負けないくらいの内容であふれている。そして、そのような海外の神話は、日本神話とも共通する点が少なくないのだ。まず、日本神話と同じように、自然の性格を反映した多くの神々が登場する。その代表が、アマテラスのような太陽神だ。太陽神を男神として信仰する文化圏は多いが、日本のアマテラスのように、太陽神を女神として崇める北欧神話も存在する。また、どの神話にも、「地下世界」が描かれることが多い。地下世界は死者の国として描かれ、そこで食物を食べると地上には帰れなくなると信じられていた。〉(本書より)
 何かの本で読んで思い出したのが、〈ユーレイは、この世に現れる時は、体をさかさまにして「うらめしや」と、いってあらわれる〉と、いう。昔は身をなげて死ぬときは、〈井戸の中へ頭から落ちていく〉からであったというところで、“うらめしや”と、いいながらさかさになってあらわれる。井戸の中へ頭から突っこんで落ちていく。だから、さかさまになってユーレイとしてこの世にあらわれるというのであった。そんなユーレイを一度でいいから見てみたいものである。と、いうことは、ユーレイは地獄にいる時は、さか立ちしているのだろうか。神さまのユーレイというのも見てみたいものである。見てみたいものは、天国にユーレイというものが存在するとしてどういう姿形であらわれるのだろうか。







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