書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります

【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。

評者◆秋竜山
ひらめきのうまれかた、の巻
No.3545 ・ 2022年06月04日




■和田秀樹『「おめでたい人」の思考は現実化する』(小学館新書、本体七六〇円)では、
 〈「おめでたい人」の典型的な思考・行動パターンのひとつに、「素直に喜ぶ」「素直に感動する」といった、屈託のなさがある。お世辞を真に受けていると軽く見られるかもしれないが、素直に喜んで、疑ったりしない人のほうが幸せだと私は考えている。〉(本書より)
 私はマンガ家であるから、毎日、夜ねている時以外はたえず漫画のことを考えている。毎日掲載される新聞の四コマ漫画であるから休むことはなく、面白い漫画のアイデアのことばかりで、面白い漫画が描けた時は、素直に喜び、描けなかった時は、その日の漫画を読者がどのように思ってくれているのか、その掲載された日は気になってしかたがない。それが新聞漫画というものである。早くあしたにならないかと願っているしかないのである。あしたの新聞に発表される漫画で今日発表された漫画は役目をはたしたことになると思っている。つまり今日が面白くない漫画であったなら、あしたがあるさということだったから、フトンの中で面白い漫画を期待する以外にないのである。「あなた、またフトンの中へもぐっているの」と、妻はいうが、漫画のアイデアを練ることはフトンの中でジッとしてなくてはならない。漫画のアイデアというものは、ひらめきによるものだ。フトンの暗がりの中でジッとしていなくては、ひらめきなどというものはうまれない。よく読者などに、なにかの拍子に漫画のアイデアがうかぶのか、と聞かれたりするが、たとえば、食事しながら突然ひらめいたなどということはまず期待できない。フトンの暗がりの中で漫画のアイデアの神にすがるしかないのである。そして、面白い漫画のアイデアを神の力によってさずかった時は、素直に自分だけで感動によろこぶのである。
 〈褒められて何でも真に受けられる人はいつも明るいし、そういう人のほうが成長力もあるように思う。〉(本書より)
 たしかに、そういう意味では、私は楽天家だと思う。もちろん、漫画家としてそうであって、面白い漫画を描けた時は、素直に喜ぶし、描けなかったときは、やりきれない気持になる。こうでなくては、漫画家としてやっていけないだろう。そして、いつも漫画をとおしてである。
 〈私たちの日常生活の喜怒哀楽、感情の表し方ひとつとってみても、「おめでたい人」もいるし、そうでない人もいる。「感動屋さん」と呼ばれるような、うれしいにつけ悲しいにつけすぐ泣く人とか、「ゲラ子」のようなあだ名をつけられて、ちょっとしたことで笑いが止まらなくなるような人は、感情の閾値が低いわけだが、これもまた「おめでたい人」に含まれるだろう。〉(本書より)
 そういえば昔、「愛しのゲラ子」というタイトルの漫画を描いたことを思い出した。もちろん、ないようは忘れてしまったが、なつかしいナンセンス漫画である。







リンクサイト
サイト限定連載

図書新聞出版
  最新刊
『新宿センチメンタル・ジャーニー』
『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
書店別 週間ベストセラーズ
■東京■東京堂書店様調べ
1位 マチズモを削り取れ
(武田砂鉄)
2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
(山下賢二)
3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
(村上春樹)
■新潟■萬松堂様調べ
1位 老いる意味
(森村誠一)
2位 老いの福袋
(樋口恵子)
3位 もうだまされない
新型コロナの大誤解
(西村秀一)

取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約