書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります

【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。

評者◆秋竜山
宝石ジャラジャラ、の巻
No.3541 ・ 2022年04月30日




■宝石というものは、考えようによっては石コロに過ぎないだろう。石器時代から現代にいたるまで、なぜ女性は宝石好きであるか、うがったみかたをするならば石コロ好きということになるだろう。男性はそのようなことはないが女性に限っていえるのである。
 志村忠夫『いやでも物理が面白くなる[新版]――「止まれ」の信号はなぜ世界共通で赤なのか?』(講談社ブルーバックス、本体一一〇〇円)では、
 〈古代から現代にいたるまで、美しい石――宝石は多くの人間、特に女性を魅了してきた。さまざまな色と輝きを見せる宝石は確かにうっとりするほど美しいが、ひとくちに宝石といっても、じつは、その種類はたいへん多い。”宝石”とは、一般的に「さまざまな鉱物の中で、硬くて、色や光沢が美しく、屈折率が大きく(つまり、キラキラし)、装飾品として用いられるもの」である。“宝石”の重要な条件をさらにつけ加えれば、色、光沢、美しさが永く保たれる耐久性を持つこと、つまり、化学的、機械的に強固であること、であろう〉(本書より)
 街の宝石店には女性たちがむらがっている。宝石を買い求めるのが目的であるが、男性の姿はあまり見かけない。男性には宝石などというものには興味がないからだろうか。男性に女性のように宝石類で着かざっている姿をあまり見かけない。その点、女性たちは身体のさまざまな部分に宝石をぶらさげている。つまり、考えようによっては、石コロをぶらさげているということになるだろう。女性というものは生まれながらにキラキラした宝石が好きにできているようだ。なぜだろうと思ったところで答えはでないようだ。女性たちに聞いてみたところで、「私にも、なぜそうなのか不思議なんです」と、答えがかえってくるのがオチである。
 〈この地球に、石は無数に存在する。だが、右の条件を満たすような石は、量的にもきわめて稀だ。その結果、世の中の常として、高価である。やはり“宝石”は宝となる石なのだ。したがって「古来、装飾品のほか、富の蓄積にも用いられる」(「新明解国語辞典」)とも説明される。〉(本書より)
 女性たちの宝石箱の中には、宝石ならぬ只の石コロが大切にしまってあるのである。お金を出してまでも石コロを買う意味がわからない。妻に聞くと、「私にもわからないわよ」という答えだった。
 〈宝石は一般的には鉱物であるから、通常は地中で地質学的年代を経て形成された“天然物”である。〉(本書より)
 宝石なるもの、女性には生まれながらに興味があるのに対し、男性には、それほどの関心がない。女性のように身体のあらゆるところに、ぶらさげるたのしみがあるのに、男性にはそれがない。「そんな石コロをぶらさげてどーするんだ」と、いうことである。と、本人は思っているが、人類にとっては宝石は美しさをみたしてくれるからだ。女性と男性の根本的違いであろう。不思議なのは、女性の耳につるしてあるイヤリング、美しく見えるのはどうしてなのか。それにくらべると男性の場合はみにくいというかコッケイにしか見えない。それは宝石というより只の石コロにしか見えないからである。「石コロをジャラジャラ身につけている女房と一緒に歩くのはみともないったらありゃあしない」と、夫が思ったとしても間違いないだろう。







リンクサイト
サイト限定連載

図書新聞出版
  最新刊
『新宿センチメンタル・ジャーニー』
『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
書店別 週間ベストセラーズ
■東京■東京堂書店様調べ
1位 マチズモを削り取れ
(武田砂鉄)
2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
(山下賢二)
3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
(村上春樹)
■新潟■萬松堂様調べ
1位 老いる意味
(森村誠一)
2位 老いの福袋
(樋口恵子)
3位 もうだまされない
新型コロナの大誤解
(西村秀一)

取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約