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評者◆秋竜山
冬の寒さに耐える鳥、の巻
No.3527 ・ 2022年01月22日
■吹雪の中を、白くつもっている木の枝に、身をふるわせてとまっている小鳥などをみると、この雪の寒さを、たえられるか心配になってくる。復本一郎監修『俳句の鳥・虫図鑑――季語になる折々の鳥と虫204種』(成美堂出版、本体一五〇〇円)では、そのような鳥たちの姿を俳人の一句でとらえている。鳥は、はねをふくらませ頭をすっぽりふくらんだはねの中へもぐりこませて寒さをしのいでいる。俳句は私にはムリだからスケッチブックに描きとめる。
〈木枯らしが吹く中、寒さにかじかんだようにしている鳥を「かじけ鳥」「寒禽」などという。おもに小鳥のことをいい、種類は特定しない、なかでも、季語としてよく使われる鳥については「寒雀」と「寒鶯」「冬鵙」など、それぞれ個別に表現することも少なくない。雪景色に見え隠れしているようすは「雪鳥」ともいわれる。厳しい季節に懸命に生きている小さな姿が、俳人の目に切なく哀れに映る。〉(本書より) 時おりカラスなどが目の前を、キイキイとするどい鳴き声を発しながら飛んでいく。この鳴き声で一段と寒い冬を実感させられるものである。 〈墓見えて冬の鳥啼く樫木原―坂本四方太〉 〈寒禽の撃たれてかかる葎かな―飯田蛇笏〉 〈寒禽となり了んぬる鵙一羽―竹下しづの女〉 〈かなしめば冬葭切の鳴くならずや―安住敦〉 〈冬の鳥射たれ青空青く遺る―中島武雄〉(本書より) 私の子供の頃は、冬になると、ヤブの中などに鳥をいけどるためのワナをしかけたものであった。 特に雪の日の朝をねらってワナをしかけ、ワナの一つ一つを「かかっているだろうか」と見てまわった。かかった小鳥の羽根をむしって火で焼きそれを食べたものだ。そのワナも仲間の子供たちに気づかれないようにして、めいめいしかけたものであった。いつも期待はうらぎられて一羽も家に持ちかえることはなかった。子供たちの冬場の遊びの一つでもあった。 〈寒禽を屍の顔の仰ぎゆく―石田波郷〉 〈すでに冬浅瀬を渉る鳥の眸も―桂信子〉 〈若狭乙女美し美しと鳴く冬の鳥―金子兜太〉 〈千曲川原へ寒禽の杜くぐりゆく―森澄雄〉 〈冬の鳶啼けば微風の青畳―飯田龍太)(本書より) どんな小鳥であっても名前のない鳥など一羽もいない。 子供の頃、メジロをメジロカゴでかっていた。それを軒下へつるしておいた。モズの目にとまってしまった。モズは、メジロをみつけると絶対に逃がさない。メジロは鳥カゴのモズにとどかない場所でふるえるしかなかった。モズは一旦ねらったら最後、絶対にしとめてしまう。それも、首ねっこをくいちぎって殺してしまう。モズがメジロばかりねらうのがよくわからなかった。「天敵だから仕方ないだろう」と、きいた時、私はかわいそうで大泣きして土にほうむった。 |
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