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評者◆田中祐理子
未了の歴史に向かう言葉たちとともに――「パンデミック」という事態に「人文知こそが言えること」
いま言葉で息をするために――ウイルス時代の人文知
西山雄二編著
No.3527 ・ 2022年01月22日




■個人的なことだが、一昨年春に近づく頃、「パンデミック」が現実となる可能性が高まって以来、繰り返し「いま何が言えるか」を問われる場面を経験した。それらの問いかけの中には、「人文知/人文学は」を主語として発されたものも確かにあった。「人文知こそが言えること」が、いまあるのだろうか。私個人としては、一昨年春の時点では、そのようなものは見つからなかった。わずかでも感染症や細菌学の歴史を学び、病気や身体に関わる哲学を考えてきたつもりの人間には、これは恥ずべき事態なのではないか。困惑し、それでも折々に目に入る事象を記録したり、その場面に対して少しは意味を持つことができそうに思える記憶をとり出したりしつつ、碌な言葉もないまま二〇二〇年を過ごしてしまった。そんな立場から、本書を読むこととなった。
 「最初の衝撃に際して人文学者たちが何を考え、何を書いたかを生々しく伝える歴史的ドキュメント」という編者の言が表現してくれる通り、本書のページをめくっているうちに、一昨年の春にヨーロッパからいち早く、かつ次第に強くなる波のように激しく響いたいくつもの「声」が、真に「生々しく」思い出された。既に「パストゥール革命」と「細菌」を類例ない姿で呈示したことのあるラトゥールや、「例外状態」と生体に実現される...







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