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評者◆秋竜山
リズムとはクセである、の巻
No.3517 ・ 2021年10月30日




■リズムの中で生活している。そのヒトは、そのヒトなりのリズムで動く。朝起きてからはじまるリズムもあれば、ヒトによっては起きるのは夕方だったりするリズムもある。たいがいが、自分の仕事によってリズムがつくられるものだ。あるマンガ家の場合は、仕事の依頼があると同時に急いでフトンの中へもぐりこむ。そして、マンガのアイデアを考える。そういうクセのリズムである。アイデアが浮かばない時は、フトンから出ることもなく、もぐりっぱなしである。カメのようでもある。結婚したての頃は、妻はそのことにあきれかえったのであるが、自分も一緒になってフトンの中へもぐり、これが家庭円満の秘けつであったとか。他のマンガ家がマネしてみたが、そのリズムにはのれなかった。よく考えてみると、リズムとはクセであることがわかる。
 佐々木健一『「面白い」のつくりかた』(新潮新書、本体七六〇円)では、
 〈「あらゆるコンテンツは“構成”から逃れられない」というのも、ほぼ全てのコンテンツは「時間」という概念に縛られるからです。時間は過去から現在、未来へと一方的に流れ、不可逆なものです。そうした一方通行の時間という流れの中で、「始まり」と「終わり」があるコンテンツには、自動的に「構成」という要素が関わってきます。一方向に流れる時間の中で「どんな要素を、どういう順番で配置するか」というのは、作品が成立する上で不可欠な要素で、最も根幹をなすものです。〉(本書より)
 そして、〈コンテンツの本質は「人間とは何か?」の探求〉と、いうことになる。
 〈構成の基本「三幕構成」から「問題提起(問い)」の重要性について言及しましたが、(略)「人間とは何か?」という問いです。例えば、なぜ人は毎日、ニュースを見るのでしょうか。表面的には「世の中の動きを知るため」ですが、その世の中を動かしているのは紛れもなく「人間」です。(略)人間以外の何者でもありません。そうしたニュースを見ながら、「(自分と同じ人間なのに)どうしてこんなことを…」と感じ、人間というものがますます分からなくなる。だから、一向に関心が尽きないのです。(略)もし仮に「人間のことはすべて分かっている人」という人がいれば(いるとすれば「神」くらいでしょう)〉(本書より)
 わからないものすべてわかる、というのが神である。人間は神の力によって創造された。神がいなかったら人間はこの世にいないだろう。神がいないということは、すべて、無いということだった。たとえば、人間はある日突然に瞬間進化誕生というものがあって、生まれたとしても、それも、神の力であり、わざであろう。若い頃、無神論者をとなえる人がいて、聞いている内に私もそうすっかり思いこんでしまいそうになった。ところが、後になって、「正直にいって、私にもよくわからないんだ」と、いわれ、ズッコケたのであった。いると、思えばいる。いないと、思えばいない。と、いうのが神であるという人もいる。神を擬人化した姿がマンガで描く姿である。マンガみたいな姿形をしていると思うとたのしくもなってくる。神の姿をマンガで描いて、「これに、間違いありませんか?」と、聞いてみる。神は、何と答えるだろうか。「キミもフトンの中へもぐりなさい」……だったりして。







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