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評者◆秋竜山
秋だなァ……、の巻
No.3512 ・ 2021年09月18日
■虫が鳴いている。
「秋だなァ……」と、思わずにいられない。 俳句の秋である。 五・七・五がピタリとおさまる。 俳人たちは耳をすませて、いる。 そんな中で、「ハクション」などと、くしゃみしようものなら、うるさいというかわりに「シーッ」。復本一郎監修『俳句の鳥・虫図鑑――季語になる折々の鳥と虫204種』(成美堂出版、本体一五〇〇円)では、俳人たちがいかに好んで虫をとらえているか。 〈むざんやな甲の下のきりぎりす(芭蕉) 明けかかる高窓引くやきりぎりす(室生犀星) はたおりの子を負ひたればあはれなり(山口青邨) わが影の我に収まるきりぎりす(加藤楸邨) ――秋の虫の多くが日暮れてから鳴くのに対し、キリギリスは昼日中から鳴く。実際には、まだ暑いころから鳴くが、初秋をイメージさせるにはふさわしい季題といえる。 が髭をかつぎて鳴きにけり(一茶) こほろぎや隣へ移る壁の穴 (正岡子規) こほろぎや暁近き声の張り (内田百閒) こほろぎのこの一徹の貌を見よ(山口青邨) 若くて俗物こおろぎの土塊草の中(金子兜太) ――コオロギ科に属する昆虫の通俗的なよび名。コオロギ科の昆虫は日本では九〇種ほど知られる。ツヅレサセコオロギやエンマコオロギ、オカメコオロギ、ミツカドコオロギなど(略) 鈴虫や松明さきへ荷はせて (其角) よい世とや虫の鈴ふり鳶がまふ(一茶) 飼ひ置きし鈴虫死で庵淋し (正岡子規) まだ鳴かぬ鈴虫忘れられさうに(稲畑汀子) ――「枕草子」や「源氏物語」などに鈴虫、松虫が登場している。実はこの当時、両者は逆の名で呼ばれていたと考えられている。現在でも鈴虫のことを、マツムシの鳴き声である「チンチロリン」とよぶ地方もある。現在のよび名になったのは江戸初期以降といわれる。鳴き声の「リーン」を鈴にたとえて「ひと振り」と数え、振りの多いものほど珍重された。 松虫のなくや夜食の茶碗五器(許六) 松虫や子静まれば夜となる (阿部みどり女) 寺過ぎる風のあはひやちんちろりん(中川宋淵)〉(本書より) キリギリスは羽根で鳴くかよ あたしはあなたの胸でなく――とか。ちょっと違ったかな。 朝帰り母のかぶりで横へきれ――とは、江戸川柳。ドラ息子に無言で首をふって合図する。怖い親父が待っている。ちょっと違ったかな。どんな虫を鳴かせたらよいか。 |
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