書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります

【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。

評者◆秋竜山
マンガの大カクメイ、の巻
No.3507 ・ 2021年08月07日




■「ハイ」は、一つ。「ハイ、ハイ」、と、いうと、怒りかえされる。馬鹿にしているからだ。そして、「なぜ?」も一つ。「なぜ?」「なぜ?」と、続けられると怒りかえされるだろう。ところが、「なぜ?」を、自分自身に問いかける。もう一人の自分にである。もう一人の自分がいる。これが禅問答である。もう一人の自分にむかって「なぜ?」と、問うのである。問われたらそれに答える。答えたら「なぜ?」と、なる。容赦なしである。まるで、大人と子供の会話のようにも思えてくる。たしかに、「なぜ?」は、一つである。子供の「なぜ?」に対して、大人は、子供を叱る。そこで、子供の好奇心はとだえることになる。竹内薫著、嵯峨野功一構成『教養バカ――わかりやすく説明できる人だけが生き残る』(SB新書、本体八〇〇円)では、
 〈伝える相手に「わかりやすい!」と思ってもらうには、相手の脳内に上手に「絵」を描かせることでした。他者意識を持つと、相手の得意な絵の描き方が、自然と見えてきます。すると、相手の描き方をサポートすることができるようになります。どういうことでしょうか。サポートとは、相手の頭の中にある言葉、つまり知っている言葉で伝えることです。相手の頭の中にない言葉を使う時点で、わかりやすさの視点で見ると、アウトなのです。〉(本書より)
 最近、どういう風のふきまわしか、テレビよりもラジオを聞くようになってしまった。テレビの面白さもあり、ラジオの面白さもある。ラジオに関しては、大いなる発見である。ラジオの場合は、すべて言葉での説明となる。ラジオで、「絵に描きますと……」なんて、いったとしてもそれじたいが言葉であるということだ。その言葉を脳で受けとめる面白さだ。
 〈小学校で習う言葉。平易な言葉を「コドモ言葉」と名付けましょう。コドモ言葉は、知っている人が多い分、わかりやすくなるのはたしかです。しかし、すべてをコドモ言葉にして伝えればいいのかといえば、そうともいえません。目的は相手の頭の中に「絵」を描かせることですよね。そのためには、コドモ言葉よりも、難しい専門用語のほうが理解の早い人もいるかもしれません。〉(本書より)
 昔、劇画が若者たちに熱狂され受け入れられた。当時、大学生までが劇画を見るとニュースになるくらいだった。子供が見るものを大学生が見るようになったと、大学生も質がおちたものだと大人たちは笑った。それも一つの時代であった。そして、大人たちは大学生の劇画を見る速さに、つまりページをめくる速度に、大人たちは「本当に読んでいるのか?」と、これは考えられないことであった。昔のマンガの読み方は、コマわりしてある一コマ一コマをたんねんに読む(目を通す)。これが、いわゆるマンガの読み方であった。大人たちは、そういう読み方しかできなかったのである。マンガの大カクメイであった。モタモタとマンガを読む時代は終わったのである。マンガを読む脳が大変化した(進化した)のであった。マンガのめんどくさい読み方の時代は終わった。それがいいのか悪いのか。売れれば、それでよいということになるだろう。







リンクサイト
サイト限定連載

図書新聞出版
  最新刊
『新宿センチメンタル・ジャーニー』
『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
書店別 週間ベストセラーズ
■東京■東京堂書店様調べ
1位 マチズモを削り取れ
(武田砂鉄)
2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
(山下賢二)
3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
(村上春樹)
■新潟■萬松堂様調べ
1位 老いる意味
(森村誠一)
2位 老いの福袋
(樋口恵子)
3位 もうだまされない
新型コロナの大誤解
(西村秀一)

取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約