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評者◆秋竜山
マンガのような大いびき、の巻
No.3506 ・ 2021年07月31日




■居眠り、につく。と、いうかしら。居眠りするとは、いう。そして、居眠りが出るという。出るのだから、入るというのか。居眠りが入るとはいわない。どっちにしても、居眠りはよくない。事典によると、〈[居眠り]すわったり、こしかけたりしたままで眠ること。〉と、ある、蒲団やベッドの中ではないということだ。眠りなしでは、あまり歓迎されたものではない。
 しかし居眠りほどの快楽はないだろう。一番に思い出すのは子供時代の学校での授業中の居眠りだろう。「私は授業中に居眠りなどしたことが一度もない」と、いう人は一人もいないだろう。考えてみると、そのような居眠りは、その時だけであるから絶対に経験しておくべきではなかろうか。ウトウトすることである。私は居眠りばかりしていた。度がすぎるほどの居眠りぐせであるから、困ったものであった。今では、困ったものである。と、いうべきだろう。
 〈あくび〉と、いうものがある。これも困りものである。居眠りと同じだ、自分の意志なき時のあらわれであるから、阻止とかコントロールできるものではない。あくびのでる状況によってであるが、一番だしてはいけない時に、でてしまうのだ。かみ殺すことはできないことはないが、その後すぐにでてしまう。無言で大口を開けてでるのは、まだすくいがあるが、「アーアー」などと声がでてしまったら救いようがない。
 竹内薫著、嵯峨野功一構成『教養バカ――わかりやすく説明できる人だけが生き残る』(SB新書、本体八〇〇円)では、
 〈私は月に何度か、日本各地から講演に呼ばれます。(略)会場が一〇〇人であっても五〇〇人であっても、ステージで話しているとあくびをしている人はわかります。「退屈だ」という意思表示として、あくびは本当にわかりやすい。私は客席であくびをしている人を二人発見したら、ヤバいと感じ、話題を変えるようにしています。――落語家の立川談志さんが、落語会の席上で居眠りをしているお客さんを見つけ、落語を中断する騒動がありました。主催者が居眠りしたお客さんを退出させて、落語は続けられたのですが、後日、騒動が大きくなりました。退出させられたお客さんが、名誉を傷つけられたとして裁判を起こし、損害賠償を請求してきたのです。結果、居眠りしたお客さんの主張は却下されました。〉(本書より)
 居眠りも静かにコックリコックリしているぶんにはいいが、大口あけて「ガーゴー」と、いびきをかく人もいたりする。これも本人の意志ではなく、本人の知らないところでの事件ということになる。
 会社などの会合で、どこからともなく、「ガーゴー」が聞えてきた。会社をいかに発展させるか!! なんて、役員達の集まりであった。とまるけはいはない。しかし誰もなにもいわなかった。その、大いびきの中で進行していった。いびきは誰も文句をいえないくらいの人によるものであった。このようなマンガのようなことが現実におこるものである。隣の人が、まわりにわからないように指で突っついてやればいいのにと思うのだが、そんなことをしたらどうなるか。放っておく以外にないだろう。今はマスクの時代である。救えるかもしれない。







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