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評者◆秋竜山
たかが人生、されど人生、の巻
No.3486 ・ 2021年03月06日




■動物は、動くから動物という。動くことができない物は、動物とはいわない。木や草は動物とはいわない。人間は動物である。動くからだ。そして、二人の人がささえあう。一人が男で、もう一人が女。かつて、長いほうが男で、短いほうが女であるといったように思うが、どうやら逆になったようだ。短いほうが男、長いほうが女。時代が変わったというと叱られそうだ。もとからそうであったといえばよい。人間が一番好きな言葉に、〈人生〉がある。人生とは生きることを意味する。人は生きなければならない。生き伸びなければならない。若いものは、人生の意味を知りたがる。中年になると、それどころではなく生活におわれる。そして老年になると、「人生とは……」とかいって語りはじめる。語りたがる。自分が生きてきた経験のようなものを話して聞かせたくなるものだ。老人も、もっと深い老人になると、人生なんて、なにがなんだかサッパリわからなくなるものである。人生も、それに到達したら「幸せ」なのかもしれない。つまり、人生なんて語らなくなってしまうということだ。「人生なんて、わすれちゃった」と、いうわけだ。そして、人生なんて、知りたくもないのである。
 インパクト編『生きる力がわいてくる名言・座右の銘1500』(ナガオカ文庫、本体四八六円)では、
 〈本書では、歴史上の偉業を成し遂げた英雄だけでなく、小説家や企業家、スポーツ選手など古今東西の先人達が紡いだ言葉の中から、選びました。〉(「はじめに」より)
 その中から特に「人生」という言葉を選んでみた。

 人生はB級映画に似ている。途中でやめようとは思わないが、二度と見ようとは思わない。(テッド・ターナー、アメリカCNN創業者)
 人生の事というものは、座敷で道中双六をして、花の都に到達するごときものではない。(幸田露伴、作家)
 人生は夢に似て、なんの価値もない水泡にすぎない。諸君が毎日見るように、瞬時にすぎ去って、とどまることがない。(ネアンダー、ドイツの牧師)
 人間の死ぬのはいつも早すぎるか遅すぎるかよ。でも一生はちゃんとけりがついてそこにあるのよ。一本、線が引かれたからには総決算しなけりゃ、あんたは、あんたの一生以外の何ものでもないのよ。(サルトル、哲学者)
 人生は学校である。そこでは幸福より不幸のほうがよい教師である。(フリーチェ、ロシアの文学史家、批評家)
 人間の一生には一度はまたとない好機が来る。(遠藤周作、作家)
 人生のどんな溝にも、どんなつまらなそうな境遇にも、やっぱり望みはあるのだ。(菊池寛、小説家「出世」青空文庫)
 人生の半分はトラブルであとの半分はそれを乗り越えるためにある。(映画「八月の鯨」)
 人生における大きな悦びは、「お前にはできない」と世間がいうことである。(ウォルター・バジョット、ジャーナリスト)
 人生は後ろ向きにしか理解できないが、前向きにしか生きられない。(キルケゴール、哲学者)〈本書より〉

 ひろいきれない沢山の人生についてである。そして面白かったのが、
 〈死んでから、人生を考えてみれば、どうでもよかったのである。(沢木興道、曹洞宗の僧)〈本書より〉
 人生って語りつくせぬほどあるものだなァ!! と、思う次第である。たかが人生、されど人生。







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