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評者◆伊達政保
今回もやはり書いていてくれたのだ――川村湊著『新型コロナウイルス人災記――パンデミックの31日間』(現代書館・本体一六〇〇円)
No.3464 ・ 2020年09月19日




■今回もやはり書いていてくれたのだ、新型コロナウイルス災害のリアルタイムクロニクルを。川村湊著『新型コロナウイルス人災記‐‐パンデミックの31日間』(現代書館)である。著者はまえがきで、「既視感のある日々が続いている。自宅に籠ったまま、何も出来ないのに、何かをしなければならぬという焦りを感じる。(略)9年前もそうだった」と書いている。著者は9年前『福島原発人災記』(現代書館)を著していた。そして今回の新型コロナウイルスの大流行も、先の原発事故と同様に、不慮の天災をパンデミックとしての人災に仕立て上げたのが、為政者や当事者たちの失政、失敗、失策によるものであるとしている。
 1月、中国・武漢市での新型コロナウイルス感染発生から、中国帰国者の感染、北海道での感染、武漢市からの帰国チャーター便、クルーズ船の感染と刻々変化する状況にオイラを含む多くの人々はTVで情報を得るしかなかった。本書はそうした経過を挟みながら、2020年4月7日「緊急事態宣言」公示から「宣言」延長の翌日の5月7日までを扱っている。現在の安倍政権は「森/加計/桜」に見られるように都合の悪い記録や議事録を改竄・廃棄してきた。今回は対策会議や専門委員会の議事録を残さないと公言している。これでは事後の検証や、秋にはやってくるという第2波への対策がとれやしない。日々の情報に流される人々にも、もう一度事態を振り返り政府や行政を検証するために本書が必要なのだ。
 まずは東京オリンピックだ。安倍政権も小池都知事も3月24日IOCとの電話会談で1年延期が決まるまで、予定通り7月開催を目論みコロナ対策が後手に回ったことは間違いない。翌日、小池都知事はロック・ダウンもあると言い放ちコロナ対策をアピール、連日TVに登場する。7月都知事選を見据えてのことだ。また感染者数を少なく見せるためなかなか受けられなかったPCR検査、武漢・4日間高熱縛りがなかなか外れず、著名人の死者も、4日間待つとは誤解だと厚生労働大臣が嘘をつく。
 466億円も掛けたアベノマスクは論外だが、10万円の給付金はなかなか届かず、巨額の持続化給付金は電通・パソナを通して再々々委託と、ピンハネが横行している。イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリは4月7日に行われたNHK・ETV特集の対談で、「各国政府は巨額のドル・円を使って対策を打っています。私たちに必要なのは民主的な監視です。それがないと権力者が友人や支持者の会社を救済して、他の会社を倒産させることになります」と語り、現在の安倍政権の対応を予測させるものとなっていた。







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