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評者◆秋竜山
常識と非常識のぶつかりあい、の巻
No.3400 ・ 2019年05月25日




■客は「とりあえば、ビール」。医者は「とりあえず、血圧」。病院へいくと医者は「どーしましたか?」と、いう。医者に、そういわせるか、それともこっちが先にいうべきか。こっちが黙っていたら医者にもわからない。「とりあえず、血圧をみましょう」となる。昔、黙って座ればピタリとあたる!! という占い師がいた。〈あらゆる現象は、原因があって結果がある〉と、いうのも物理学といえるのだろうか。志村史夫『いやでも物理が面白くなる 新版――「止まれ」の信号はなぜ世界共通で赤なのか?』(講談社ブルーバックス、本体一一〇〇円)を読みかえす。
 〈長年、物理学の分野で仕事をしてきた私ではあるが、正直に告白すれば、長いあいだ、ほんとうに長いあいだ、「特殊相対性理論」が理解できずにいた。理解できないまま一生を終えてしまうのではないかと諦めかけてもいたのだが、理解できない理が、不可解な光を日常的な感覚を持った頭で理解しようとしたからにほかならないことに気づいた。私を含め多くの「常識人」は、光速が一定なのはなぜかということを物理学の基本法則から理解しようとした。これに対し、アインシュタインは「光速不変」を自然界の原理、つまり物理学の基本法則を考え、すべての物理現象は、この「光速不変の原理」から導かれると考えたのだ。〉(本書より)
 女房が白といえば、亭主は黒という。亭主が白といえば、女房が黒という。常識と非常識のぶつかりあいということか。「まったく、あんたって人は」と、女房がいう。「まったく、お前って奴は」と、亭主がいう。それが夫婦であるという。女房が白といい、亭主も白という。そして、女房の黒に対して亭主の黒。それがいい夫婦であるかどうかは、他人の夫婦なんて、どっちでもいいことだということだ。
 喉に魚の骨がささってしまった。「ゲエ!! ゲエ!!」と、いくらやっても取れない。取るには、ゲエ!! ゲエ!! をやるしかない。繰り返さなくてはならない。このようなことは初めてではなく、子供の頃から何度となく経験している。今までだったらその内に取れるはずである。ゴハンを丸のみにしてのみ込めばいいとか、障子のところで鋏で畑をたがやすような仕草をしてみるといい、とか。試してみるが取れない。取れるまでゲエ!! ゲエ!! をやり続けるしかない。オジが子供の時、同じような目にあって、ついに取れず病院へ行った。そして、医者の前で、もう一度とばかりにゲエ!! と、やってみたら、取れたという話がある。医者が変な顔をさせたという。そんなことを思い出しながら、あきらめることなく、ゲエ!! ゲエ!! を繰り返すしかなかった。一晩中眠れずフトンの中で、ゲエ!! ゲエ!! をやった。それでも無駄で、病院へ行くと、「どーしましたか」と、医者にいわれて、「魚の骨が……」と、いって口を開けると、同時に医者がのぞきこんで、ピンセットのようなものを口の中へ入れると、二、三秒。なんと、あっけなく骨は取れ、あまりの早い結果に、言葉を失った。原因が原因なら、結果も結果であると思った。いったい、あのゲエ!! ゲエ!! は、なんであったんだ。
 原因は魚の骨が喉にささっているということはわかっていた。結果も、その骨を取ればいいだけのことであるが、その骨が自分の力ではどうすることもできない。たのみは、ゲエ!! ゲエ!! であったが、それも、何のやくにもたたなかった。もう一度、ゲエ!! とやってみたら、もしかすると取れたかもしれない。いずれにせよ結果なんて、すべからくあっけないものである。







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