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評者◆秋竜山
猿の尻笑い、の巻
No.3388 ・ 2019年02月23日




■私が初めて日本語を発したのは、「アーアーアー」と、いう産声であった。産声というものは生まれると同時に発する。赤ん坊であればどこの国であれ皆同じ発声であると思う。それが私の場合は日本国であったから、初めての日本語の発声ということになるのだろうか。これがもし他国であったら、その国の言葉としての第一声であると思う。考えてみると、どこの国の赤ちゃんでも、何語で発するかもわからず本能的に「アーアーアー」と、いう声で泣いたのである。西東社編集部『今日から役に立つ! 常識の「国語力」2600』(西東社、本体七五〇円)では、
 〈「国語力をつけたい!」と思うことはありませんか。言いたいことをうまく表現できない、テレビなどで耳にする言葉がよくわからないなど、誰もが思うことがあるのではないでしょうか。(略)常識の国語力として2600語句を集めてみました。〉(はじめに)
 漢字力、慣用句、カタカナ語、敬語、言い回し術、四字熟語、ことわざ・故事成語、など、さまざまの日本語が専門的にある。そして、日常的に会話したり喋ったりする時は、まるで無意識のように口から言葉が発せられるのである。
 〈〈膝が笑う〉疲れなどで膝の力が抜けること。膝に負担がかかってブルブルすること。(例文)慣れないハイキングをしたものだから、膝が笑ってるよ。〉
 〈〈鼻で笑う〉相手を見下した態度を取る。〉
 〈〈猿の尻笑い〉自分の欠点に気付かずに他人の欠点をあざ笑うこと。猿が自分の尻の赤さに気付かずにほかの猿の笑うことから。類義句は「猿の柿笑い」「五十歩百歩」(例文)奥さんはことあるごとに旦那を悪く言うが、それこそ猿の尻笑いというものだ。〉(本書より)
 四字熟語で、
 〈〈一顰一笑〉「顰」は気分が悪そうに眉をよせ、眉間にシワをよせること。顔を少ししかめたり、ちょっと笑ったりする意から、わずかな表情の変化のことをいう。類義語は「一喜一憂」(例文)緊迫した雰囲気の中、彼の一顰一笑が気にかかってしようがない。〉(本書より)
 なにが笑えるかというと。〈猿の尻笑い〉だろう。猿が尻でどのようにして笑うのか(へ、へ、へ……と、笑うのか。まさか)。ところが、猿が尻で笑うのではなく、猿が尻を笑う。つまり、尻を見て笑うということである。しかも、自分の尻を見て笑うのではなく、自分以外の猿の尻を見て笑うということである。自分の尻は笑えないが、自分以外の尻を見て笑う。なぜ? 自分以外の尻は誰もが、真っ赤である。それが可笑しくて笑う。自分の尻も真っ赤なくせに。でも、笑わない。ひとり者が、自分の尻をちっとも可笑しくもないのに他人の尻は笑ってしまう、というようなものか。もし、人間の尻も猿のように真っ赤であったら、猿と同じように他人の尻を笑うとうことになるのだろうか。
 〈〈破顔一笑〉にっこり笑うこと。笑顔で表情をほころばせること。「破顔」はほほえむこと、「一笑」は軽く笑うこと。心配事などで硬い表情やしかめ面の顔に笑みが浮かぶ場面に使う。〉(本書より)
 〈泣いて暮らすも一生、笑って暮らすも一生〉(本書より)
 これは説明しなくてもわかる。笑って暮らしたいものである。なかなかそうはいかないのが人の一生というものか。顔で笑って心で泣いて、なんて名文句もあった。







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