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評者◆伊達政保
最後までライブハウスの最前線で活躍したジャズ・マン――ジャズミュージシャン、テナー・サックス奏者の片山広明が死去
No.3386 ・ 2019年02月09日




■ジャズミュージシャン、テナー・サックス奏者である片山広明が亡くなった。オイラと同学年だよ。早すぎるじゃないか。酒の呑み過ぎによる肝硬変で幾度か入院するも、その都度復活し豪快な演奏を聞かせていた。糖尿病となり、最近は肝臓癌を定期的に治療中、肝不全ということだった。それでも亡くなる一週間ぐらい前まで、相変わらずに演奏を続けていたのだ。
 片山さんの野太いテナーの音色は豪放でいて繊細、フリー・ジャズ、ロツクそして歌謡曲までを表現することが出来た。それは彼の演奏経歴からうかがい知ることが出来る。高校時代はブラスバンド、クラシックもストラビンスキーに至るまで演奏する一方で、同時代の黒人公民権運動に共感し、リロイ・ジョーンズ、植草甚一などジャズに関する本を読み漁ったという。激動の69年に国学院大学史学科に入学しモダン・ジャズ同好会に入るも、そこでは演奏そっちのけで「ジャズは死んだか」など議論ばかり。相倉久人‐平岡正明ジャズ理論が論争を巻き起こしていた時代、その影響を受けたという。先輩の縁で沖至(トランぺット)と演奏、フリー・ジャズの世界へ。生活のためにキャバレー・バンドヘ、歌謡曲やスタンダード・ナンバーを叩き込むことになる。
 70年代後半、片山さんとジャズ仲間のリハーサル・バンドが発展して生活向上委員会大管弦楽団となり、NHKTVの「若い広場」にも出演しメジャー・デビュー。サン・ラ・アーケストラ風の奇抜な衣装とフリー・ジャズを基調とした演奏スタイルは大評判となった。原田依幸(ピアノ)、梅津和時(アルト・サックス)、故・篠田昌巳(アルト・サックス)、故・板谷博(トロンボーン)、早川岳晴(ベース)など、現在から見れば錚々たるメンバーである。片山広明の名を知ったのもこのバンドであった。そのホーン隊は忌野清志郎のRCサクセションに度々ゲスト出演。80年代、生向委解散後、片山、梅津はRCの常連メンバーとなり、多くのロック・ファンにもその名を知られることになる。同時にD・U・B(どくとる梅津バンド)結成、ヨーロッパのジャズ・フェスでも絶賛された。
 91年、渋さ知らズオーケストラにゲスト参加。以後もバンマスの不破大輔曰く「渋さの四番バッター」として大活躍する。一方で林栄一(アルト・サックス)とデ・ガ・ショーやCO2を結成。最近では石渡明廣(ギター)、早川、湊雅史(ドラム)とハッピー・アワーを結成して活動。渋さのサックスセクションと、片山広明サックス・カルテットを結成し、今年ツアーも行った。最後までライブハウスの最前線で活躍したジャズ・マンだった。合掌。







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