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評者◆秋竜山
女はすべて〈いい女〉である、の巻
No.3384 ・ 2019年01月26日




■〈いい女〉の定義はむづかしい。女はすべて〈いい女〉であるからである。たとえば悪い女であったとしても、それはA氏は悪い女と思うが、B氏はいい女と思えたりするからだ。若い時、男はそういう経験をするものである。〈いい女〉だと、追いかけていたら、その内に、だんだんと〈くだらん女〉であることがわかってくる。「どーして俺は、こんな女にノボセていたのか」、不思議でならなくなってしまう。女というものが、わかってきたからなのか、それとも、わからなくなってしまったのか。それが、わからないのである。女というものを、わかったほうがいいのか、わからないほうがいいのか。それがわからない。
 中谷彰宏『いい女のしぐさ――あなたの印象を変える63の方法』(だいわ文庫、本体六五〇円)では、〈悪い女〉とはいっていない。〈悪い女〉も、好き好きで、悪い女ほどいい女である!! なんて男もいたりする。だから、そーなのかはしらないけど、本書では〈雑な女〉と、いういいかたをしている。雑な女も見かたによっては〈いい女〉ということになるのか。世の中には雑好みというものもいたりするから、よくわからないが。やっぱり雑な女というのは、そのしぐさによっても、よっぽどのことがない限り、好きにはなれないだろう(?)。
 〈雑な人のカッコよさは、間違ったカッコよさです。今はシャツの袖をロールアップできるように、袖口にボタンが2つついています。一番下のボタンは、みんなとめています。2つ目のボタンは、あけている人がいます。ロールアップする時に、ボタンがとまっているとめんどくさいからです。雑な人は、それをカッコいいと思っています。きちんとしている人にとっては、ボタンがとまっていないのは、男性のジッパーがあいているのと同じです。それをカッコいいとは誰も言いません。〉(本書より)
 たしかに、男性のジッパーがあいているのはカッコ悪い。自分であいているのに気がつかない場合が多いだろう。しかも、そのカッコ悪さは、間違っても弁解しようのないものだ。それが、シャツの袖のボタンがしてないと同じくらいカッコ悪いものであるとは私は思わないけど。もし、そういうのを見たらそう思うかもしれない。反射的に自分のジッパーを見てしまうだろう。男性のジッパーがあいているのを、こっちが男性でありながら注意することには勇気がいる。「あいてますよ」と、なにげなくいうのも、なかなかいえないものである。見て見ぬふりをきめこむしか方法がないだろう。そして、女性のシャツの袖のボタンも、そうである。「シャツの袖からボタンが、あいてますよ」とは、いえるものではない。もしかすると、男性のジッパーよりもむづかしいことかもしれない。場合によってはチカンあつかいにされないとも限らない。電車の中であったとしたら、駅員につき出されないとも限らない。「この人が、あたしが袖のボタンがしてない」と、いうんです。
 〈「いい女」と握手した時、手があったかいという。雑な人は手が冷たい〉(本書より)
 という。夏の猛暑のなかで、そのような手にふれたら、さぞ気持いいだろう。だからといって「冷たい手ですね」とは、いえないだろう。







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