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評者◆秋竜山
「やばい」なしでは成り立たない、の巻
No.3381 ・ 2019年01月01日




■「やばい」と、いうコトバ。が普通語になってしまった。無意識に、ごく自然的に口からとび出す。それが時代というものか。それが日本人というものか。そんなことは、どーでもいいことで、使いたかったら使えばいいし、使いたくなかったらつかわなければいいだろう。どちらかというと、私は面白がっている。それは、女性がこの言葉を口にするということである(男性はどっちでもいい)。なぜ、女性が使うと面白いかというと、テレビなんかで、有名な女性タレントなどが口にしたりすると、その女性の心の裏側がなんとなくわかったような、かいま見たような気がするからだ。ビックリ大発見というところか。「へー!! あの女も口にするのか」と、いう面白さだ。
 北原保雄『しっくりこない日本語』(小学館新書、本体七六〇円)で、〈「やばい」―プラスの評価になるのは必然か―〉というコーナーがある。
 〈「やばい」は、もと、てきやや盗人が使っていた隠語であまり品のよろしくない言葉ですが、最近では上品な感じのご婦人方が使っているのを耳にしますから、すでに一般化しているといってよいでしょう。しかし私には、どうしても品のよくない言葉に聞こえます。(略)先日もテレビを見ていましたら、火事が発生した現場から逃げる男性が、「やばい」「やばい、火事だ」と連呼していました。〉(本書より)
 たとえば、テレビなどでニュースを読んでいる女性アナウンサーが、ひとこと「これは、やばいことです」と、いったとしたら。面白がっている私にとっては、ゾクゾクするほど快感だと思う。それも、はじめのうちで、その内に当たり前になってしまうだろう。私が子供の頃の昔のあの頃でも、「やばい」なんて言葉はあまり聞かなかったように思う。男性からであって、女性からなんて聞くはずもなかった。
 どーして「やばい」という言葉が日常語になったんだろうか。もし、見合いの席で、相手女性が、「やばい」なんて口にしたら、今の時代でもどう受け入れていいのか。とまどってしまうかもしれない。ましてや、自分には過ぎる美女であって、「これは、しめたものだ」と、思ったその美女の口から、「やばい、やばい」が連発されたら、どーしましょうか。まさか、その発言を取り消して下さいと、お願いするわけにはいかないだろう。「やばい」なら、まだしも「やっぺー」なんて、いったら、これも、どーしていいかわからなくなってしまう。もはや日本人は「やばい」なしでは言葉が成立しないだろう。
 〈最近では、若者が、「これ、おいしい! やばいよ」のように、プラスの評価をする場合にも用いるようになっています。〉(本書より)
 うれしい表現も「やばい」のひとことで、かたづいてしまう。かなしい時も同じだ。「やばい」という言葉を知らず自分でも使っていることである。「やべー」とか「やぺー」とか、まったく気にしないで日常用語になったら面白いだろう。新聞の第一面に「やべえ国会」とか「やべー政治」とか、早く使われるようになると面白い。「やばい」という流行歌を出すなら今だろう。







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