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評者◆秋竜山
笑う馬鹿に笑われる馬鹿、の巻
No.3363 ・ 2018年08月11日




■笑い上戸がいる。たえずケタケタ笑ってばかりいる。なにが、そんなに可笑しくて笑えるのか。「私は笑い上戸でして、ハイ。アハハハハ」と、自分を笑い上戸と称して、やたらと笑う。そんな人と一緒にいると、こっちが、だんだんと不ゆかいになってくる。「いいかげんにしろ!!」と、いったところで、「でも、私は笑い上戸ですから」。反対に、泣き上戸がいる。「私は、泣き上戸ですから、ハイ。オーイオイオイ」と、なにかにつけて泣いてばかりいる。このような二人が無人島で一緒にいたらどうなるか。「笑うのはやめろ!!」「泣くのはやめろ!!」の、いいあいの毎日だろう。無人島でなくても、人とのつきあいというものは、それに似たものだろう。酒の席などで、怒り上戸という人がいたりするが、これも、めいわくな話である。
 佐山拓郎『流されない練習――他人・感情・情報と”上手に付き合う”コツ』(三笠書房知的生きかた文庫、本体六〇〇円)では、〈運のいい人になる方法〉というテーマがある。
 〈あなたの周りにも、「運がいい人」がいるかもしれません。そういう人たちを端から見ていると、労せずして得をしているという印象を受けます。しかし、彼らはみな、「運をつかむ準備」ができているのです。他の人が素通りするようなことにも目ざとく気づいて、「幸運」へと変えてしまっているのです。「運がいい人」をやっかむ前に、巡ってきたチャンスを活かせるよう、準備をしてみてください。この準備ができれば、周りがうらやむようなラッキーな出来事に次々と出合えますし、困難に直面しても、すぐ打開策を見つけられます。これで晴れてあなたも「運がいい人」の仲間入りです。〉(本書より)
 話として、「運がいい人」の話はちっとも面白くない。「私の一生は、運のいい連続でした」なんて話を聞いていても、「それは、よかったですね」で終わってしまう。面白くないから話に興味もない。成功談を成功者は話したがるものであるが、その気持はわからないでもないけど、面白くないということはどーいうことか。一つには笑えないということだ。成功したことのどこを笑えというのか。
 その反対の笑える話というのは、人さまの不幸話である。同情をしながら耳をかたむけてはいるが心の中では、たのしんでいる。笑いながら聞いているといっていいだろう。そんなことをハッキリいうと、ヒナンされるだろうけど、人間というものの本質はそんなものであるからだろう。マンガで面白くて笑えるのは、運のわるい人を描いているからである。
 マンガのアイデアに困った時は、「不運の人」というタイトルを先につくっておいて、そのタイトルにあてはめていけばいいのである。人類が最初に笑ったのはどういう時であったか、それは、相手を笑った時であったろうし、相手がヘマをしたことを笑ったのにちがいあるまい。落語がなぜ笑えるのか。笑いが古典になりえるのは、馬鹿ばっかり出てくるからだ。その馬鹿を馬鹿が笑うということだ。「俺は馬鹿じゃない」と、いう人ほど馬鹿であるものである。
 人には「運」がついてまわるだろう。いずれにしろ、他人のつかみそこなった運ほど笑えるものはない。笑い上戸はそれを笑い、泣き上戸は泣く。自分のことでも。だったら、たいしたもんだ。
■笑い上戸がいる。たえずケタケタ笑ってばかりいる。なにが、そんなに可笑しくて笑えるのか。「私は笑い上戸でして、ハイ。アハハハハ」と、自分を笑い上戸と称して、やたらと笑う。そんな人と一緒にいると、こっちが、だんだんと不ゆかいになってくる。「いいかげんにしろ!!」と、いったところで、「でも、私は笑い上戸ですから」。反対に、泣き上戸がいる。「私は、泣き上戸ですから、ハイ。オーイオイオイ」と、なにかにつけて泣いてばかりいる。このような二人が無人島で一緒にいたらどうなるか。「笑うのはやめろ!!」「泣くのはやめろ!!」の、いいあいの毎日だろう。無人島でなくても、人とのつきあいというものは、それに似たものだろう。酒の席などで、怒り上戸という人がいたりするが、これも、めいわくな話である。
 佐山拓郎『流されない練習――他人・感情・情報と”上手に付き合う”コツ』(三笠書房知的生きかた文庫、本体六〇〇円)では、〈運のいい人になる方法〉というテーマがある。
 〈あなたの周りにも、「運がいい人」がいるかもしれません。そういう人たちを端から見ていると、労せずして得をしているという印象を受けます。しかし、彼らはみな、「運をつかむ準備」ができているのです。他の人が素通りするようなことにも目ざとく気づいて、「幸運」へと変えてしまっているのです。「運がいい人」をやっかむ前に、巡ってきたチャンスを活かせるよう、準備をしてみてください。この準備ができれば、周りがうらやむようなラッキーな出来事に次々と出合えますし、困難に直面しても、すぐ打開策を見つけられます。これで晴れてあなたも「運がいい人」の仲間入りです。〉(本書より)
 話として、「運がいい人」の話はちっとも面白くない。「私の一生は、運のいい連続でした」なんて話を聞いていても、「それは、よかったですね」で終わってしまう。面白くないから話に興味もない。成功談を成功者は話したがるものであるが、その気持はわからないでもないけど、面白くないということはどーいうことか。一つには笑えないということだ。成功したことのどこを笑えというのか。
 その反対の笑える話というのは、人さまの不幸話である。同情をしながら耳をかたむけてはいるが心の中では、たのしんでいる。笑いながら聞いているといっていいだろう。そんなことをハッキリいうと、ヒナンされるだろうけど、人間というものの本質はそんなものであるからだろう。マンガで面白くて笑えるのは、運のわるい人を描いているからである。
 マンガのアイデアに困った時は、「不運の人」というタイトルを先につくっておいて、そのタイトルにあてはめていけばいいのである。人類が最初に笑ったのはどういう時であったか、それは、相手を笑った時であったろうし、相手がヘマをしたことを笑ったのにちがいあるまい。落語がなぜ笑えるのか。笑いが古典になりえるのは、馬鹿ばっかり出てくるからだ。その馬鹿を馬鹿が笑うということだ。「俺は馬鹿じゃない」と、いう人ほど馬鹿であるものである。
 人には「運」がついてまわるだろう。いずれにしろ、他人のつかみそこなった運ほど笑えるものはない。笑い上戸はそれを笑い、泣き上戸は泣く。自分のことでも。だったら、たいしたもんだ。







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