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評者◆秋竜山
未来はマンガのように、の巻
No.3357 ・ 2018年06月30日




■世界中の動物たちが、突如笑い出したら、どーなるのか。なんて、考えたこともあった。そんな、マンガ作品を描いたりした。動物は笑わない。そして、人間が笑う。人間だけが笑う。のだとばかり思っていたのに、動物も人間と同じように笑うとなった時、一番驚いたのは人間だろう。ところが、超驚いたのは動物たちではなかろうか。自分は笑うことなどしないものだと生まれた時から思っていたし、動物の歴史の中でも、笑いとはムエンなものだと思っていた。第一に人間が笑うということに関心がなく、人間が笑うという動作すら気づきもしなかったことだ。動物園で猿は自分たちは見られて人間たちに笑われていることも気づかない。そもそも人間が笑うということに気づいていないのであった。笑いは感情である。猿に、そして動物には、そのような感情の動作はなかったのである。突如、世界中の動物たちに感情の変化がめばえた。進化したというべきか。人間たちは大いに、あわてた。動物に笑われるということはどういうことになるか。動物園の中のオリの中へ動物たちをおし込めて、それを見物できるのも、動物たちが笑いを知らない、いや気づかないからだろう。もし、動物たちが笑ったら、オリの中の動物とオリの外の動物とが笑いあう風景をみることができるだろう。なんと、なごやかな。笑うとは、相手を笑うことである。さあ、どーしましょう。人間が動物を笑い。動物が人間を笑う。人間が人間を笑うということは、ガマンもできよう。
 ジャレド・ダイアモンド著、レベッカ・ステフォフ編著『若い読者のための 第三のチンパンジー――人間という動物の進化と未来』(秋山勝訳、草思社文庫、本体八五〇円)は、何回読んでも面白さを発見させられる。
 〈ここまでくると、私たちの知るような芸術が、どうして人間特有のもので、ほかの動物には見られないのかという疑問にも答えることができそうだ。捕らわれの身にあれば絵を描いていたチンパンジーが、どうして野生では絵を描こうとはしないのか。その答えとして私が考えるのは、野生に生きるチンパンジーの日常は、食べ物を探すこと、生き延びること、ライバルの群れを追い払うことで精一杯だからなのだ。野生のチンパンジーにもっと余裕ができ、絵具を作る能力をもちあわせていれば、おそらく彼らも絵を描きはじめるようになるだろう。すでに現実に起きているのがその証拠だ。遺伝子の点からすれば、私たち人間もまだ九八パーセント以上はチンパンジーにほかならないのである。〉(本書より)
 動物が笑うこと反対!! と書かれたプラカードとか、動物が絵を描くこと反対!! とかを持った人間の姿が街にあらわれるようになるだろう。ロボットの進化も人間にとっては不安であるが、それ以上のものがある。動物の国会議員などということになったら、どうなってしまうのだろうか。野党の国会議員とか。与党の……。日本の総理大臣は動物の中から選ばれたりして。まるで、マンガのようだ。と思われるだろうが未来はマンガのようになるだろう、と神さまが、つぶやいたとか。







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