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評者◆ベイベー関根
さあ、マンガでHIPHOP入門よ!
日ポン語ラップの美ー子ちゃん
服部昇大
No.3334 ・ 2018年01月13日




■前回ちょっと取り上げた作品に影響されてハードボイルドみに溢れすぎたので、今回は少女マンガふう(?)に行くわよ!
 服部昇大『日ポン語ラップの美ー子(びーこ)ちゃん』だ! 全編これ『日ペンの美子(みこ)ちゃん』の絵柄を使って、日本語ラップの素晴らしさを訴える感動の一大巨編だ! いや間違えた、一大巨編よ!
 まさか『日ペンの美子ちゃん』から説明が必要な人はいないと思うけど、70年代から主に少女マンガ雑誌の誌面を飾っていた、日本ペン習字研究会主催「ボールペン習字講座」の広告マンガなのよ! 美子ちゃんはその主人公で、いろいろな展開やギャグの中に必ず「日ペンには××年の歴史があって先生方も超一流」「1日たった20分の練習ですぐに上達」といった決めゼリフが強引に差し込まれることで、伝説的な作品になっているわ。熱狂的なファンもいて、岡崎いずみ『あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度』なんて本も出たくらい。初代美子ちゃんの作画を担当していたのが、矢吹れいこ先生a.k.a.中山星香先生(これも説明不要と思うけれど、日本での少女向けファンタジー漫画の第一人者よ!)が担当していたことは有名ね! そして何と! 『今日のテラフォーマーズはお休みです』で、本家『テラフォーマーズ』ファンを凍りつかせ、またプロのマンガ読みとしても「おあつあついのがおすき」「墓場の漫画digger」でスルドすぎる鑑定眼を見せつける服部先生は、『美子ちゃん』が話題になったおかげで、第6代の『美子ちゃん』の作者に抜擢されたのよ! スゴくない!!
 この欄の読者にも、聴いている音楽がオアシスとかマイブラとかシガー・ロスで止まってる人が多いんじゃないかと思うけど、『フリースタイルダンジョン』のヒットの前から日本語ラップはサグかったことを知らしめるために降臨したのが、日本語ラップの守護天使・美ー子ちゃん。用語やアティチュードの解説をはじめ、偏りまくった選盤・選曲で、RHYMESTER、キングギドラ、スチャダラパー、ANARCHY、田我流、BAD HOP、Creepy Nuts、漢 a.k.a. GAMI、DJみそしるとMCごはん……といったドープなあたりをオススメしてくれるわ! 
 とにかく全編、服部先生の、日本語ラップをみんなに知ってもらいたい! っていう気持ちに溢れた力作ね。だからといって、実際に聴く気になるかというとまた微妙だけど(笑)。
 最後に、この本の中で炸裂しまくる名パンチラインたちを紹介するわ!「すばらしい曲を作る才能と頭のよさは…/まっっったく関係ナシ!!」「とりあえず轢くわ!」「知ったふりしろ!」「まずは自分でディグる!」「にわかのお客様は帰っていただけますか?」「HIPHOPに大事なものってわかる?/『支払い』よ!!」「文化が豊かであるために『おもしろ作品』は重要よ」
 めっっっちゃ正論ね!!







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