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評者◆秋竜山
狂気の目玉、の巻
No.3332 ・ 2017年12月23日




■私の気のせいかもしれない。最近のテレビに出る女性の目がまん丸くなっている。つまり見開いている。別のいいかたをすれば、狂気の目玉といっていいだろう。テレビのそんな女性たちを見ていると、こっちが目が痛くなってしまう。こっちに向かってカッと見開いている。ビックリ目というものである。どーして、そんな目になってしまったのだろうか。彼女たちは、もともとちゃんとしていた目であったと思う。ところが、ビックリ人形のような大目玉で目をつむるということもしない。テレビに映る女性は狂人のように思えてくるのである。目の化粧のせいだろうと思う。そのような目でテレビに映ると美人にでも見えるのだろうと思う。それなら、いいと思うけど、目の病気であったとしたら大変である。昔から、テレビに映る時は大きく目を見開いて、まばたきしないようにということのようであったが、少しでも目を大きく見せようと、まつ毛の長いのをつけたりしたものであったが、最近は、まつ毛よりも丸形の目玉に力をそそぐようになってしまった。
 目というものは本来の姿として、ひどいパチパチは問題があるとして、パチリパチリとつむったり開いたりして、美人の目ということになる。写真などで、よく「ハイ、うつしますよ」というと、目を大きく開けたものであった。「アラ!! やだ、つむってしまったわ」なんて、かわいいものだった。写真になった時、つむってなんかいなかったりした。
 宮城谷昌光『随想 春夏秋冬』(新潮文庫、本体四三〇円)で〈逆説の写真〉という題があり、
 〈たとえば一眼レフの場合、シャッターボタンを押した瞬間、ファインダーのなかの像は消えているはずなのである。むろんカメラに慣れた人は、ファインダーをのぞきながら、片方の目で被写体を観察しているのであろうから、いまの写真はこういうものだと計算できている。が、おおかたの初心者は、みえないものを撮ったのである。まさにその一瞬、風景にしろ人物にしろ、フィルムのなかにしまわれて、現像されるまでその全容はあきらかにならない。ここに写真のスリルがある。〉(本書より)
 写真のシャッターは、その一瞬である。本書の〈みえないものを撮ったのである。まさにその一瞬、風景にしろ人物にしろ、フィルムのなかにしまわれて、現像されるまでその全容はあきらかにならない。ここに写真のスリルがある〉ということは、シャッターを押して撮るには撮ったが、現像されるまで、写っているのかいないのか、わからない。「大丈夫でしょうね。撮れているでしょうね」なんて、何回もくどく念を押されると、不安になってくる。果たしてどうなのか。
 写真を撮ってあげて、その写真が目をつむっていたりした場合、「なんだ、こんな写真いらないよ」と、思われることもあるだろう。その場合、目をつむったほうが悪いのか、目をつむった瞬間にシャッターを押したほうが悪いのか。文句のいいあいもできないだろう。私は写真を撮るというより画を描くというほうだから、写真のように目をつむった一瞬を描くということはありえない。その点においては、目はいかようにも描けるものである。それでもやっぱりビックリ目が喜ばれるようだ。







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