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評者◆秋竜山
進化はどの差で決まるのか?、の巻
No.3312 ・ 2017年07月22日




■人類は生きるために進化し、いや進化するために生きてきた。ところが、その進化に、とどめをさそうとしている。人類の終末は地球の終末でもある。核戦争すれば、アッという間に、宇宙空間より地球は消えてなくなるだろう。地球がなくなったら、どーなるか。もう、どーなるも、こーなるもない。最近のテレビや新聞の報道で、そう考えたほうがいいかもしれない。池田清彦『進化論の最前線』(インターナショナル新書、本体七〇〇円)で、進化について。
 〈現在のキリスト教原理主義者が進化論を認めないのは、「神の姿に似せて創られた人間が、サルから進化したはずはない」という思いがあるからです。そして、一八〇〇年代中頃のヨーロッパは、キリスト教の影響が現在よりも強い時代でした。ですから、大昔に現生人類とは別の人類がいたということはなかなか受け入れられず、ネアンデルタール人の化石を病気やけがのせいで関節が変形してしまった現生人類の祖先の化石だと考えたのです。ただ、この結論には非常に無理があり、その後、同じような化石がたくさん発掘されるようになると、現生人類とは違う人類がいたことを認めざるをえなくなりました。〉(本書より)
 人類は神の姿のものマネとしたのがマンガ的であり、私はこれまで〈神さまと人間〉をテーマのようにしたヒトコママンガをそのつど描いてきた。神さまが自分の姿に似せて人をつくった、というのが、もうすでにマンガになっているように思えてくる。そして、有名なのは外国マンガのジャン・エッフェルの「天地創造」である。昔、アサヒグラフに連載され、その後単行本になっているヒトコママンガである。神の創造上の人物が人間であるということで、創造上において神さまが人間を造ったのであり、人間が神さまを造ったのではないことが、わかったようなわからないような気分にさせられる。
 外国マンガに「アダムとイブ」がテーマになっているヒトコママンガが沢山ある。昔はマンガ家も読者も面白がっていたようだ。その証拠に作品もいっぱい掲載されていたが、今はまったく見ることができない。マンガ家も読者も飽きてしまったのだろうか。人類はこの二人からスタートするのである。これは神さまの発想だろうか。いや、それとも後になって人間の発想かもしれない。人間には、男と女がある。これがアダムとイブであるが、男と女以外にいたとしたら、その進化はどうなったであろうか。
 〈ネアンデルタール人もクロマニヨン人も狩猟採集民ですから、同じような獲物を狙っていました。同じ場所に同じものを食べる二つの生物種が存在すれば、当然「食物の獲得競争」が発生します。〉(本書より)
 恐らくクロマニヨン人はネアンデルタール人より頭がよかったようだ。それは高い学習機能によって、よりたくさんの食糧獲得をしとめた。つまり、頭の悪い人間は絶滅の道へと追いやられる。進化は、利口か馬鹿の差で決定されそうだ。今の地球上を見た時、人類の進化は食料のうばいあいである。核戦争も、国対国の食料のうばいあいである。核兵器でおどすというのか。これが人類の進化というのか。腹がへっては進化も戦さもできない!! と、昔の人はいったものだ、とか。







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