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評者◆秋竜山
マンガとは「今」を語るもの、の巻
No.3307 ・ 2017年06月17日




■川上徹也『一言力』(幻冬舎新書、本体八〇〇円)と、いう本。本書を手に取った理由として、タイトルの〈一言力〉にあった。ちょっと似ているように思えてくる。〈ヒトコマ・マンガ〉と、いう呼び名。それに力を入れて〈ヒトコマ・マンガ力〉である。似た響きに共感がわく。ヒトコマ・マンガを描くものとしては〈一言力〉とは、ひとことでいって、どーいうことか知りたくもなってくる。パッと見てパッとわかる!! が、ヒトコマ・マンガの宣伝文句というかキャッチフレーズである。「ヒトコマ・マンガってなんですか?」なんて聞かれることがある。「ああ、そういう時代かなァ!!」とも、思えてくるが、昔の全盛の頃からくらべると、ヒトコマ・マンガを見る機会が驚くほど少なくなっているから、ヒトコマ・マンガってなんですか? と聞くヒトのほうが正しい。そういう世の中である。マンガとは「今」を語るものであるから、そのような質問は今がわからないということでもある。マンガとは何か。人間を描くことである。今を描くことである。今のヒトビトがマンガを見るということである。そう考えてみると、その時代(今)にピッタリと張りついているのがマンガであるだろう。もちろん、ヒトコマ・マンガもコミックも同じだ。マンガと名のつくものはすべて一緒である。いっそのこと、今を語っている新聞を思った時、紙面全部をマンガにしてしまったらどーなのか。つまり、「マンガ新聞である」。よく考えてみたら、昔、マンガ新聞のようなものがあって、ニュースなどをマンガで表現していた。期待していたが、イマヒトツというところでポシャッてしまった。
 〈15秒で用件を要約する習慣をつけましょう。15秒はテレビCMと同じ長さです(番組提供枠のCMは30秒です)。文字数にすると60字くらいはしゃべれます。15秒でも意外にしゃべれるのです。〉(本書より)
 テレビ的ともいえるだろう。テレビとは、つまりパッとしゃべって、パッとわかる。そして、映像としては、狂気じみた目玉。テレビに映る顔といったら、まばたきしない目玉をカッと見ひらき。その間、15秒とか30秒とか。最近の女性のテレビタレントに多い。そんなコンタクト・レンズを入れているからだともいう。
 〈京都大学大学院下田宏教授の研究によると、目を動かさずに一度に知覚できる範囲は9~13字とのことです。これは縦書きでも横書きでもさほど差はありません。テレビで使われるテロップなども、おおよそ15字以内と決められています。この文字数を超えると、意味をつかみ取る努力が必要になってくるからです。〉(本書より)
 モタモタできない世の中になってしまったようだ。モタついていては世の中からおいてけぼりをくってしまう。テレビのお笑い番組が時代性をよくあらわしているだろう。ひな段に並んで座っているお笑いタレントが、15秒とか30秒の言葉で、パッと話してパッと終わり、観ているものもパッと、わかるというものである。パッとわかるから笑えるのである。時は金なりと、いう。一言は金なり、ともいえそうである。一言多い!! と、いう言葉もなくはない。







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