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評者◆小嵐九八郎
『コーラン』、イスラム法での女の扱い
イスラームの人間観・世界観――宗教思想の深淵へ
塩尻和子
No.3288 ・ 2017年01月28日




■2016年12月11日の「毎日新聞」の“時代の風”に総合研究大学院大教授の長谷川眞理子さんが、雌雄の区別なしの無性生殖から有性生殖となってから10億年ほどの進化史をヒトも背負い「精子は、卵をめがけて競争し、卵は最適な精子を選抜する」として、これらの生物的存在として性差を無視した男女差別、「自由」「平等」「福祉」の論は如何なものかとする文を記している。まるで的外れの俺の思いだが、72歳のかなりの老人になり電車で立ったままもしんどいと“優先席”へと歩むと、この3カ月、40代50代と思しきスマホ持ちの女の人に5度追い抜かれ先回りされていて「そう、そこをもっと具体的に展開を」と長谷川眞理子さんに望んじまう。
 ま、しかし、人類史の中の原点の180万年前のホモ属、本格的人類のホモ・サピエンスの20万年前と言わずとも、この2~3000年ぐらいの人類史を考えると、ユダヤ教、仏教、キリスト教、イスラム教の今の女の置かれているあれこれを比較すると、ユダヤ教、イスラム教では他宗教との結婚が法度で、とりわけイスラム教は女の人格と命まで支配され、FGM(女性性器切除)、女子割礼とも称される慣習すら残っている。あ、ユダヤ教での男の子の出生八日目の割礼はあのうそのう包茎にはあのうそのうという説もあるし、イエスはこれはやっていたのだけれど。
 それで、この間、「イスラム国」、ISの課題を含めて世界史の現在を知ろうと惚けた頭でそれなりに懸命に勉強している。その中で『コーラン』での女の扱いや、その後に、つまり、ムハンマド(俺ら老人にはマホメットの訳が染みついている)死後2~300年後に編纂された『ハディース』、イスラム法についても書いてある、2008年発行で少し古いのかしら、本に出会った。『イスラームの人間観・世界観――宗教思想の深淵へ』(発行:筑波大学出版会、発売:丸善出版、本体2800円)がこれだ。著者は塩尻和子さん、発刊当時、筑波大の思想専攻教授。『旧約聖書』、仏典と比して『コーラン』の女への心はほぼ男と同じ、なぜ、そうではなくなったのかが解る。イスラームもしんど。







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