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評者◆秋竜山
子は親に似る、の巻
No.3286 ・ 2017年01月14日




■どっち似? と、いう言葉を平気で無神経につかう。何の意図もない。意図があったら、大問題である。子供は常に、どっち似の対称となる。両親のどっちに似ているかということである。差別か。いや、そんなことはない。他人がもし、「この子は、母親似かしら。それとも父親似かしら?」と、いった場合、別にどっち似であっても、どーでもよいことであって、どっちに似ていても似ていなくても関係ないことである。たんなるアイサツである。うまれたばかりの赤ん坊を、「お前似だね」「アラ!? そんなことないわよ。絶対にあなた似よ」「いや、お前似だよ」と、いい合っている夫婦をみると、ほほえましくもある。どっちにも似ているということが一番いいことだろう。
 橘玲『言ってはいけない――残酷すぎる真実』(新潮新書、本体七八〇円)では、遺伝について。
 〈親から子へと外見や性格が遺伝することは昔から知られていた。背の高い親の子どもが長身なのは当たり前で、せっかちな子どもを「親に似たのね」と評するのもごく自然だ。その一方で、「トンビがタカを生む」という諺があるように、親とはちがう形質を持つ子どもが生まれることもわかっていた。しかしそこにも一定の範囲があり、顔かたちから性格までなにもかも違うと、ほんとうの親子なのか疑われることになる。〉(本書より)
 その時、子どもとしてどーしたらよいのか。あきらめるか。親が馬鹿だから、自分も馬鹿であって当然だ。親のせいにすべきである。とは、いえ。「お前にはすまないと思う。お前の馬鹿はお母さんとお父さんによって、つくられたものである。それは、げんぜんたる事実である」。なにが哀しいかって。
 〈子どもは親を選べないし、もって生まれたものでなんとかやっていくしかない――これはまっとうな人生観だが、それがいま大きく揺らいでいる。遺伝をめぐる自然科学の急速な進歩は、これまで想像もできなかった難題を私たちに突きつけている。〉(本書より)
 教育の力にすがるしかないだろう。
 〈学校教育では、すべての子どもによい成績を獲得するようがんばることが強制されている。もしも知能が遺伝し「馬鹿な親から馬鹿な子どもが生まれる」のなら、努力は無駄になって「教育」が成立しなくなってしまう。だからこそ、自然科学の研究成果とは無関係に、「(負の)知能は遺伝しない」というイデオロギー(お話し)が必要とされるのだ。〉(本書より)
 嘘か本当かしらないが、美女をそのままうのみにすべきではないというらしい。まず、母親をみるべきである、という。美女も、母親のように変わっていくというのである。母親がその年で美女の線がくずれていないということは、年老いても美女であるということである。遺伝の恐ろしさか。親にしてみれば、どんな子でもかわいいものだ。ダメな子ほどかわいいという。ひなたぼっこをしている二匹のネコ。大きいほうが親かと思ったら、大きいほうが子であるという。親のほうが小さい。よく、くらべてみると親ネコは親の顔をしていて、子ネコは子の顔をしている。人間もいっしょである。親は年をとればとるほど小さくなっていくものである。







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