書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります

【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。

評者◆ベイベー関根
こいつぁとんだ食わせもんだぜ!料理マンガだけに!
紺田照の合法レシピ 第二巻
馬田イスケ
No.3283 ・ 2016年12月17日




■みなさんこんにちは、世にはびこる料理マンガとかグルメ漫画とか、おおむね滅びてしまえと思っているベイベー関根です。
 つーか、いまちょっとメシ喰うマンガ多すぎね? お米食べられないんです~とか、糖質制限とかグルテンフリーとかほざいてるくせによ、おまえらはまったく自分という名の空間に耐えられなくなるからといってメシばかり喰いやがって……メシ喰うな!(©町田町蔵) いや、いってみただけですけど。
 ま、そういいながら、実は好きな料理マンガもあるんだけどね。それが今回取り上げる、馬田イスケ『紺田照の合法レシピ』だ!
 主人公は、暴力団「霜降肉組」の新人組員・紺田照、18歳。新入りにもかかわらず、自分の生死にすら関心なさげな冷徹さで、兄貴分たちからも一目置かれている存在だ。しかし、義理と人情の世界に生きる彼には、もうひとつハマり込んでいるものがあった。それが料理である!
 というわけで、抗争(や学園生活……高校3年生でもあるので)に明け暮れる毎日の中で紺田が作り上げるさまざまな料理が、このマンガの柱になっている。
 当然、料理を監修してる人はほかにいるんだろうけど、「なんちゃってアンチョビとポテトのパリパリピザ」とか「ねば~る山芋ペペロンチーノ」など、意外な食材やアレンジを採用したレシピが、急場しのぎとか単なる思いつきのようでありながら、物語に現れるディテールをも丹念に拾い上げていく……なんて説明がバカバカしくなるほど、「料理」と「ヤクザ」の組み合わせが絶妙に笑えるんだよな。「良い…! 平和なグラタン街にシャキシャキと主張の強いもやしが乱入し大暴れだ」「パスタ山に積もった美味しいとろろ雪/この山なら遭難してもかまわない!」「敵対する海出身にもかかわらず山の幸組との相性抜群…!/完全に和解が成立しちまった!」
 文字の引用だけだといったい何が起こっているのかわからねーと思うが、おれも何を読んだのか全然わからなかった……。いや、ここでポルナレフごっこをしてる場合じゃないな、サンプルのコマを載せておくので、要参照!
 主人公紺田照のクールな性格設定は確かに面白いが、それだけではなかなか話をふくらましきれないせいか(苦笑)、キャラがだんだん増えてきたり、その過去や背景や人間関係がかいま見えてきたり、話もヤクザもののみならず、ラブコメや人情ものなどさまざまな方向に展開する可能性を見せつつあるので、ぜひ皆の衆にもカチコんでもらいたいぜ! 個人的には、絵を読むことの大事さと料理の即興的な側面を押し出してる点を評価してーな。
 ところで、今度出た第2巻、掲載されてる7篇のうち、雑誌に掲載されたのは4篇のみであとは書き下ろしなんだけど、最近そういうの流行ってんの? 人気が出たせいかもしれないけど、作者にとってはちょっと厳しい状況なんじゃないかとちょっと心配だぞ!







リンクサイト
サイト限定連載

図書新聞出版
  最新刊
『新宿センチメンタル・ジャーニー』
『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
書店別 週間ベストセラーズ
■東京■東京堂書店様調べ
1位 マチズモを削り取れ
(武田砂鉄)
2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
(山下賢二)
3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
(村上春樹)
■新潟■萬松堂様調べ
1位 老いる意味
(森村誠一)
2位 老いの福袋
(樋口恵子)
3位 もうだまされない
新型コロナの大誤解
(西村秀一)

取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約