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評者◆秋竜山
画家はやめられない、の巻
No.3279 ・ 2016年11月19日




■マンガ(ヒトコマ)は、それぞれテーマ別になっているようだ。数多く沢山のマンガ家に描かれると、それが一つのテーママンガになる。特に外国マンガに多い。たとえば、有名なのは無人島マンガとか、日本でもある時代にマンガ家志望の若手のマンガ青年たちがよく描いた〈首つりマンガ〉とか、自殺マンガなんかあったが、外国物に多かったせいで日本でもマネしたのだろうか。応募マンガの選者などが解説の中で、もう首つりマンガはやめて別のテーマで応募するように、なんて書いていた。
 テーママンガで世界的にも人気のあるのではないかと思われるのは、〈芸術〉あるいは〈芸術家〉をマンガにしたものである。芸術家というと、あらゆる芸術家をマンガにしても笑えるマンガになってしまう。音楽家など多い。音楽ばかりをテーマにした専門の世界的に有名になったマンガ家もいたりした。芸術家というと、画家がある。もしかすると音楽家以上に画家がマンガ化されているかもしれない。画家を何もさせないで一人キャンバスにむかわせただけでマンガになってしまうものである。何を考えながら画を描いているのだろうか。画家とモデルなど、これだけでマンガになってしまう。なぜ、芸術がマンガになり、いや芸術家というべきだろう。マンガになるということは笑えてしまうということだ。
 絵描きになりたいと親父にいったら叱られた。画家を志したものが一度は経験することで、時がたてば、なつかしき昔話になってしまう。「画家などになって、どーやって食っていくのだ!!」と、いうのが最大の理由である。決して画が悪いのでもなければ、芸術が悪いのでもない。女房子供を食べさせていけるかということだ。一〇〇パーセント無理。そんな時代もあった。今は知らないけど、ね。親の大反対も当然。もうそこからマンガになっている。なぜ、俺はよりによって画家などになりたいのだろうか。なんて大いに悩む。関係ない人にはコッケイとしかうつらない。だからマンガである。
 〈画家になる人は、「画家になんかなるな」と言われても、なってしまうタイプで、そのような人たちが画家に専念するうえで、最低限必要な基礎を学ぶ場が美大、芸大なのです。だから、美大、芸大に行ったからといって、皆が画家になれるわけではありません。〉と、本書ではいう。
 千住博『芸術とは何か――千住博が答える147の質問』(祥伝社新書、本体八二〇円)。そして、
 〈芸術家とは何か――日々、創作活動しているとは何か、そして人間とは何かを問うことと同義です。〉(本書より)
 人間とは何か。画家は、そんなことを考えながら毎日キャンバスにむかっているのだろう。哲学しながら画を描いているのである。だから画を描くということは、その味をしめたらやめられなくなって一生棒にふってしまったりするものだ。その部分がマンガであって、笑えてしまうのではないだろうか。そのような笑える生き方をしている画家がマンガになるのである。そして歴史に残るような作品を世におくり出す。マンガになるようでなくてはいい画家とはいえない。というのがマンガ家の意見でもある。間違っているだろうか。







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