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評者◆ベイベー関根
雑談は楽し、特に仕事中は……。
osaka.sora
小山健
No.3278 ・ 2016年11月12日




■アラサー、か……。と、遠い目になってしまったが、なぜ遠い目になってしまったかについては適当にご推察されるがよかろう。
 というわけで、今回は、小山健『osaka.sora』でよろしく。いけねー、いま『tokyo.sora』って書きそうになっちった。なんでもそれからタイトルは引っ張ってきたみたいだけど。
 小山健って、しばらく前からwebでマンガとか発表しててさ、それがまとまった本があるのとか、この本読んでから知ったんだけど、いや面白いんだよな、「一石を投じたいだけ」とか。『死ぬ前に1度やっとこう』は……あんまり面白くなかった……。
 ま、それはともかくとしてだ、『osaka.sora』だよ。どういうマンガかというと、大阪の出版社に勤めるジャスト30の山形さん・男性とハナちゃん・女性の仕事の合間の会話のあれこれをことこまかに描いた作品だ! えーと、それで間違ってないよな。基本見開き16コマというパターンで(そうでないのもある)、これが終わりの方までわりと延々と続くんだけど、これが飽きないんだな~。
 仕事のグチみたいのもあるんだけど、それはむしろ少なくて、どっちかというと、「一発ギャグ考えたんだけど」とか、「人にいったことのない秘密ある?」とか、「あれ、何ていうんだっけ?」とか、そんなの。
 いやー、何のへんてつもない。でもこう、カフェで隣の席に座った人たちのムダ話を聞いてるような面白さがあるんだよな。あれって、なんであんなに聴いちゃうのかね。というか、ああいうのの面白いのと面白くないのの違いってなんなんだろね。別に突拍子もない話をしてるわけでもないのになー。しかも、このマンガ、そのライヴ感みたいのをまたうまく料理してあんだよなー。
 ネタの拾い方が巧みなのはいうまでもなく、キャラや関係性の作り方も絶妙だし、この2ページ16コマのリズム感が身体に入ってくると(前述の通り、そうでないのもあるんだけど、またそのときどきの外し方もうまい)、たまにすっぽ抜ける回も、それはそれで、ああ、そうよね~みたいな感じになっちゃうから不思議よなー。
 最後に「お!?」みたいな展開も待ちかまえているけど、ま、これくらいなら腹も立たない、むしろいい気持ちってところか。
 やべーな、なんか、今回は全然伝わらない書き方になってね? まあ、筋とか絵とかで楽しむというもんでもないので、ちょっとだまされて見てみてちょ~ということで。
 ちなみにブックデザインは、現在『QJ』のアートディレクターを務める佐藤亜沙美。いいとこ突いてくるね! ま、帯の糸井重里はいらなかったか。
 あとはあれか、「マンガとバンド・デシネのハイブリッド」とかで話題の、バラック、バスティアン・ヴィヴェス、ミカエル・サンラヴィル『ラストマン』な、あら~、著者の名前を並べていったら字数が足りなくなっちまったがな!







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