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評者◆秋竜山
自分の脳の大きさは?、の巻
No.3263 ・ 2016年07月16日




■顔は、大きいのがいいのか、それとも小さいのがいいのか。頭についてもいえるだろう。「キミの頭はでっかいねぇ」とか「ちっちゃな頭をしているねぇ」とか。いずれにせよ他人の肉体のアレコレはつつしむべきだろう。たとえば、「大きなお尻をしてるねぇ」と、いうとセクハラということになるではないか。どう思ったとしても口にだしたら事件となる。さわらぬ神にはたたりなし。
 妹尾武治『おどろきの心理学――人生を成功に導く「無意識を整える」技術』(光文社新書、本体八八〇円)で〈日本が誇る脳科学者の金井良太先生が、「プロシディングス・オブ・ロイヤル・ソサエティー」誌に掲載した論文では、Facebookの友達の数と脳の特定の部位の大きさの関係について調べている〉。脳の大きさについてだ。脳の大きい小さいについても、これこそ簡単に論ずるべきではないだろう。「ヤイ!! 俺の脳が小さいとはなんだ。あんまり馬鹿にするな」と、いいたいのが情というものだろう。大きいといわれればうれしいものである。なぜか、うれしいに気分になってくる。
 〈友達が多い人は、社会的な認知・社会行動を司る脳内部位もやはり大きくなっているようなのだ。ただし、これはどちらが原因でどちらが結果なのかはわからない。友達が多いから脳が大きくなるのか。脳が大きいから友達を沢山持てるようになるのか。その点、どちらが正しいのか今のところ何もわかっておらず、今後の検討が必要なトピックである。(略)つまり、脳が大きいから友達が効率的に増えていき、友達が増えることで、さらに脳が大きくなるというのが真相ではないかと思う。〉(本書より)
 自分の脳はどーか? 「アア、やっぱり」が自分の脳のとらえかたではなかろうか。「俺は友達が多いから、その分だけ脳も大きいはずだ」。ナットクできるということは、堂々としていられるということだよ!! と、いう。何がうれしいかって、あなたの大きな頭の中の脳について、となれば、これをヨロコバなくて何をヨロコブのだ。大きな頭には大きな脳がやどり、小さな頭には小さな脳がやどる。
 〈脳が大きい動物ほど社会規模が大きくなるという有名な話がある。イルカやサルは脳が大きいので、群れの規模が大きくなる。一方、シカやネコのような脳が小さい動物はあまり群れを形成できない。つまり、社会的なやりとりと脳の大きさには密接な関係があるのだ。従来、動物種の違いでこの話が成立してきたが、現在は、人間の個人個人でもこの関係が成り立つことがわかったということである。〉(本書より)
 よく、顔じゃないよ心だよ!! と、いう。心というものは何にでもつかえるベンリなものだ。頭じゃないよ、心だよ。脳の大きい小さいじゃないよ心だよ、ともいえてくる。人間というものは、心が一番上ではないのかしら。あの心じゃないよ、この心だよといえてくる。心で私がトッサ的に頭に浮かぶのは「心がわり」である。心というものはすぐ変わってしまうもの。あっちへフラフラこっちへフラフラ。顔は大きいのがいいと思っていたら、小さいのがよくなったり、頭についてもいえること。まあ、ぜいたくをいえる身分ではないということだ。







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