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評者◆添田馨
暗黒の“安倍時代”を生きる④――隠蔽的擬態による国家の乗っ取り
No.3263 ・ 2016年07月16日




■「いまの自民党は、昔の自民党とは違う」――このところ、野党政治家や識者の口からよく聞かれるのはこんな言葉だ。無論、安倍政権に移行して以降の自民党のことである。だが、どこがどう違っているのかについて、明確な根拠がなかなか特定できない。
 この内閣に顕著な異常ともみえる特徴は、自らの権力維持のために手段を選ばないどころか、卑劣な手段にすら平気で手を染め恥じない点である。直近では、伊勢志摩サミットで、消費増税延期にむけた嘘の世界経済判断を提言し、各国首脳から拒否されるという浅はか極まった事例もあった。その根底にあるのは、本意を隠して他を欺く詐欺的な政治手法を常態化する、“政権マフィア”と呼ぶのが相応しいような驚くべき反社会的体質である。
 安倍政権が繰り広げてきた一連の不法行為を、これまで私は特異なクーデターだと断じてきたが、その核心の意図は、隠蔽的擬態による国家の乗っ取りにあったと、最近、ようやく総括できるようになった。つまり“彼等”は、自民党を擬態しているがじつは違う何かである。そもそも自民党じたいがまず“彼等”に乗っ取られ、そしていま、日本国家そのものが、自民党を擬態した“彼等”に乗っ取られようとしているのが、恐らく真相である。
 『日本会議の研究』(扶桑社新書)の著者・菅野完は、「DAYS JAPAN」が主催した6月20日の講演会で、“彼等”がやったことというのは、旧自民党をも含むリベラル勢力が支えた戦後政治体制に対する、外部からの「簒奪・革命」に他ならなかったと明確に述べていた。私はこの認識は、決して間違っていないと思う。
 選挙民の眼からみれば、今も昔も変わらない自民党の姿がそこにはあるだろう。古き良き自民党を知っている人たちは、何の疑いもなく、これまで馴れ親しんだ保守政党・自民党に票を入れるだろう。しかし、その中身は、何か得体の知れない“暗黒なもの”へと完全にすり替わっているのだ。







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