書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります

【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。

評者◆秋竜山
飽きっぽい性格の脳、の巻
No.3259 ・ 2016年06月18日




■飽きっぽいヒトって、脳が飽きっぽいということらしい。「まったく、お前って性格は飽きっぽいヤツだ」を正しくいうとしたら「まったく、お前の脳は飽きっぽいヤツだ」となるのか。梶本修身『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書、本体七〇〇円)では、そんな脳のことを教えてくれる。
 〈仕事でも運動でも何かの作業中に「飽きてきた」と感じたら、それは疲労のサインだと感じとって、休息をとる、気分転換をはかるなどしてから別の作業を行い、脳の疲労を和らげるように習慣づけることが大事です。〉(本書より)
 つまりは、脳がからだのすべてをコントロールしているのか。「アァ、疲れたなァ」と感じた時は、脳がそのように信号をおくっているのだという。と、いうことは脳が信号をおくらなかったら疲れたなんて感じないということか。歩き疲れてヘトヘトになっていたとしても、脳のほうで「疲れの信号」をおくり忘れていたら、そんな足でも疲れていると思わないということか。疲れしらず、とよくいうけど、もしかすると脳が信号をおくるのを忘れてしまっているということか。
 〈同じ神経細胞ばかり使っていると、その神経細胞は酸化ストレスにさらされ、「もうこれ以上、この神経細胞を使わないでくれ」という信号を発します。これが、「飽きる」という感情となって表れるのです。〉(本書より)
 飽きっぽい性格の脳というのがあるのだろうか。もしあるとしたら、何をやっても脳のほうが飽きっぽいから、「アァ、飽きた」という信号をすぐおくりつける。これは脳の責任問題だ。〈「飽きる」「疲れる」「眠くなる」は脳疲労の3大サインと言われています。〉と、いう。何をやっても三大疲労をもっているせいか、何をやってもすぐ飽きてしまう。ところが子供の頃から不思議でならないのは、マンガを読んだり描いたりすることはいっこうに飽きない。マンガに関しては脳が飽きのサインをおくりつけない。よっぽどマンガ好きの脳であるということか。どうしてだろう。自分でも不思議でならない。好きなことだから!! だけの問題なんだろうか。脳に聞いてみたいくらいである。好きなことは脳は疲れないということは、脳が疲れを感じないということのようだ。それがナゼ好きなのかわからない。理由があるはずだ。
 〈「疲労」とは、医学的には、「痛み」「発熱」と並んで人間の生体アラームのひとつと考えられています。つまり、「これ以上、運動や仕事などの作業を続けると体に害が及びますよ」という警報です。人は痛みや熱があると休息しようとしますが、もしもそれらの警報を発することができなければ、死にいたるまで作業を続けてしまう恐れがあります。(略)疲労とは、生物が生命を守るために体の状態や機能を一定に保とうとする働き、「ホメオスタシス(恒常性)」のひとつであるわけです。〉(本書より)
 よく考えてみると、疲れるということは命びろいするということではなかろうか。疲れたら誰がなんといおうと、パッとやめてしまう。過労死なんて無えんとなるだろう。疲れたと思ったら脳からの信号である。「待ってました」と、いうことである。脳の信号は長生きさせてくれると考えると、信号がないのは恐ろしいことだ。







リンクサイト
サイト限定連載

図書新聞出版
  最新刊
『新宿センチメンタル・ジャーニー』
『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
書店別 週間ベストセラーズ
■東京■東京堂書店様調べ
1位 マチズモを削り取れ
(武田砂鉄)
2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
(山下賢二)
3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
(村上春樹)
■新潟■萬松堂様調べ
1位 老いる意味
(森村誠一)
2位 老いの福袋
(樋口恵子)
3位 もうだまされない
新型コロナの大誤解
(西村秀一)

取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約