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評者◆秋竜山
怒られたい、怒ってあげたい、の巻
No.3249 ・ 2016年04月02日




■ヒトというものの奇妙さは今にはじまったものではない。時として無性に怒られたくなるものである。何か悪いことをしでかしたというわけでもない。ただ怒ってもらいたい。本気になって怒ってもらいたい。私が思うにそういうヒトって幸せであることはわかっているが、ある面でものすごく淋しかったりするわけだ。そういうヒトがいたかと思うと、これも奇妙さにつきるが、時として、めった、やたらに怒りたい衝動にかられるのである。正しくいうと、怒ってあげたいというべきかもしれない。それも、本気で怒りたいのである。怒られたくてムズムズしている人、怒りたくてどーにもならない人のため、というか、うってつけの本が出た。小宮一慶『一流の人は本気で怒る』(文春新書、本体七二〇円)を読むと、その道がよくわかる。
 〈小宮流「正しく怒る」7カ条、
 「正しい考え方」を身に付ける
 「怒り」と「憎しみ」を区別する
 どうでもいいことは受け流す
 「フォー・ザ・カンパニー」を貫く
 本気で怒って本気で褒める
 直接顔を合わせて伝える
 人間味をもって怒る〉(オビより)
 どーせ怒られるなら、一流の人に怒られたい!! これが人情というものだろう。たとえ自分が二流、三流であろうと、またそーいうヒトほど一流をほしがるものです。そして、絶対に怒られたくないヒトというのが、二流とか三流のヒトにだ。一流のヒトでなければ怒られたってなんのくその役にもたたないし、バカ馬鹿しさだけが後に残るだろう。損をしたと思うだけだ。今、自分を怒っているヒトは果たして一流であるかどうかを見ぬく目をもたなければならないだろう。と、同時に相手を怒っているヒトの場合は、怒っている相手が何流であるどうかを見きわめなければならないだろう。それをとっさに見きわめるということが大変であって、間違って本気になって怒っている相手が一流でなかったら、怒り損ということになる。
 〈「正しく怒る人」は、「一流」の人と言い換えることもできます。では、一流の人とはどういう人のことを指すのか。まず、自己実現とは、「なれる最高の自分になること」だと私は考えています。人間にはそれぞれ潜在的な能力差があるため、いくら努力しても、なれないものにはなれない。ほとんどの人は一〇〇メートルを九秒七では走れないのです。それが事実ですが、実は多くの人が、がんばれば手が届くはずの「なれる最高の自分」にさえなっていない。それはなぜか。答えは簡単。ほとんどのビジネスマンの場合、「なれる最高の自分」にならなくても食っていけるからです。ビジネスマン、特に大きな会社、伝統ある会社に勤めている人は、先輩たちが築き上げてきた仕組みやブランドのおかげで食うに困らない。(略)そういうわけで、ほとんどのビジネスマンは「これでいいや」(略)〉(本書より)
 そういう人が二流のままで終わってしまう、のだという。だとしたら、みんな二流ということか……。二流の人だって本気になって怒るんだぞ!! と、いう声がきこえてくる。







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