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評者◆秋竜山
私はウソを申します、の巻
No.3244 ・ 2016年02月27日




■嘘くさい器械に、「嘘発見器」というものがある。実際に使われているかどうかはしらないが、うわさでは警察などで実用化?されているとかいないとか。昔、テレビのバラエティ番組で観た。お笑い番組であったから、やっぱり嘘くさい(笑)。本当に嘘を見やぶれたのか、その番組ではよくわからないままに終わってしまった。その後、あまり話題にならないところをみると、まだまだ開発の途上にあるのかどうか、期待したい。このような器械がでると、まっさきに、国会の政治家に、一問一答をボタンを押して、メモリの動向をテレビなどに映し出してほしいものだ。これ以上のバラエティ番組はないだろう。そういえば、昔「私は嘘を申しません」と、いうような声をあげた大政治家がいた。テレビを観ながら、みんな笑ってしまった。その時、嘘発見器がなかったからボタンは押されなかったが、これくらいの嘘を国民にむかっていえることは、もしかするとこの大政治家は正直な人であって信じてよいかもしれない。片田珠美『自分のついた嘘を真実だと思い込む人』(朝日新書、本体七六〇円)では、
 〈生まれてから一度も嘘をついたことがないという人はいないだろう。誰でも一度くらいは嘘をついたことがあるはずだ。「嘘をついたことなんかない」などと自慢する人がいたら、むしろうさんくさい人物なのではないかと、私は疑いのまなざしを向けるようにしている。それでは、嘘とは何か? 事実とは違うこと、自分が抱いているわけではない意見、自分が感じていない感情を、あたかも本当であるかのように話して他人に信じさせることだ。〉〈嘘をつく動機は、だいたい三つある。①自己愛 ②否認 ③利得である。もちろん、この三つにはっきりと分けられるわけではない。むしろ、自己愛と否認、自己愛と利得というふうに複数の動機がからみ合うケースのほうが一般的だ。場合によっては、三つの動機がすべてからんでいることもある。(略)「この世には、嘘をつくという目的のためにだけ嘘をつくという人も存在する」というパスカルの「パンセ」の中の言葉を思い出した。〉(本書より)
 人間は嘘をつくようにできているというならば、「正直者は嘘をつく」だろう。人間に正直ということだ。
 〈気をつけなければならないのが涙だ。とくに男性は女性の涙に弱い。「女の涙にはうんざりする」とか「女はいいよな。泣けばいいと思っているんだから」などと涙に対して厳しいまなざしを向ける男性がいる一方で、やはり女性が涙を流す姿を見ると、ころっとだまされてしまう男性も少なからずいるようだ。なので、男女の間ではとくに要注意なのだが、女性が涙を武器にするのは、男性に対してだけとは限らない。同性に対しても、涙を流して同情を引くことによって、自分の嘘を隠蔽しようとする場合である。〉(本書より)
 今のは嘘泣きであるか、本泣きであるか、嘘発見器で見やぶることができるだろうか。「只今の、あなたの泣いたのは嘘泣きということです」などと、嘘発見器に記録されたとしたら、どーしましょうか。「ふざけんじゃないわよ。私は本当に泣いたのよ」なんて、嘘発見器を、けとばしたりして……(大笑い)。







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