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評者◆竹原あき子
ジベール書店の買い物袋
No.3234 ・ 2015年12月12日




■カルチェラタンにあるジベール(Gibert Jeune,Gibert Josepf)は、パリで学ぶ学生だったら必ず足をはこぶ書店だ。大型店だが、特徴は、新刊と安い中古の書籍が隣同士で並んでいるコーナーがあることだ。ことに教科書だったら間違いなく安上がりで迷うことなく買い物ができる。しかも同じタイトルの中古本があれば、新品同様でも中古は20%は安い。
 ジベールが中古に力を入れるのには訳がある。
 最初の書店を開いたのは1886年だったが、それ以前にセーヌ川岸でブキニストと呼ばれる岸辺の青空書店を開いていた。教員だった経験から、教育が受けられない庶民のための中古本をあつかうブキニストは喜びだった。そのころ首相だったジュル・フェリ(Jules Ferry rend)が初等教育の無償化の法案を通した。だからだれもが学校に通うことになる法律は教科書販売にとってまたとないチャンスだった。書店を開いてから130年後の今でも中古本を新刊と同様に販売する方針を貫いている。といってもフランスでは教科書は学校からの中古の貸与が普通だが、大学生の読まなければならない本の量、そしてヴァカンスという日々のために用意するフランス人一人あたりの本は一夏で15冊という統計もあるくらいだから、読書はまだ健在だ。
 教科書の買い取り制度にも特色がある。小学校から大学入学準備の年代までに必要な本などの買い取りを積極的にネットと店頭で行う。買い取り窓口、あるいはネットで本についているバーコードを入力すれば、評価がでて価格が決まり、店頭で現金、銀行振込、あるいは金券、という支払いの選択がある。その店内に買い物袋が目立つようになった。大型の袋は半透明だから,中にどんな本が入っているかわかる。立ち寄ったのが9月。フランスの新学期だから一度に沢山の本を購入する顧客のためだ。コンビニのような風景に驚きながらも、万引き予防にも役立つのではないか、と推察した。
(和光大学名誉教授・工業デザイナー)







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