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評者◆編集部
こどもの本棚
No.3233 ・ 2015年12月05日
■平和を願う敷石のいのり
▼いのりの石――ヒロシマ・平和へのいのり ▼こやま峰子 文/塚本やすし 絵 1945年8月6日午前8時15分、広島に原子爆弾が投下されました。物語の主人公は爆心地から200メートルと離れていない場所にあった広島電鉄の敷石です。敷石の楽しみは、毎日ほがらかな町の人々を眺めて暮らすことでした。しかしそんな日常が、突然の「つきさすような光とおそろしい風」によって破壊されてしまったのです。人々は敷石の上に倒れ、建物は吹き飛ばされて燃えています。美しかった川には死体がたくさん浮かび、頑丈な敷石でさえもするどい痛みを覚えるほどの衝撃を受けました。それでも時は経ってまた平和な日々が戻ってきました。いつまでもこんな平和な日々がつづくといい、そんな願いを込めて原爆投下を経験した敷石に観音像が彫られ、世界中の国々に飛び立っていくことになりました。「祈りの石」と名付けられた敷石は、平和の大切さを伝えるメッセンジャーとして、世界中の人々の平和な生活を願っています。資料と英訳頁もついた平和の大切さを伝えてくれる絵本の登場です。(6月刊、27cm×21cm四〇頁・本体一三〇〇円・フレーベル館) ■サメたちの友情とたたかい ▼サメ王国のグレイ1――七つの海を制する者 ▼E・J・アルトバッカー 著/桑原洋子 訳 平和に暮らすサメたちの群れ「サンゴの一族」で生まれ育ったグレイは少しやんちゃで食べ盛り、身体は大きいけれど学校に通うまだまだ子どものサメ。グレイは親友のバークレイとともに授業を受けたあと泳ぎに出た先でマグロの大群をみつける。「食べ放題だ!」誰にも知らせずにふたりはマグロに飛びかかっていった。夢中で食べているといつのまにかふたりはサンゴしょうの外に出てしまっていた。そこは危険な外洋。突然、イタチザメが襲ってきてグレイはあやうく攻撃をまぬがれた。そこは「ゴブリン一族」の領海だったのだ。どうにか「サンゴの一族」に戻ったのだが、一族に危険をもたらした罪でグレイは追放されてしまう。母と「マグロ大回遊」でいつか再会することを約束してグレイは外洋に出て行く。ひとりで外には行かせられないとバークレイも一緒についてきてくれた。ふたりは仲間をつくり、友情を育んで、幾多の困難をくぐり抜けていく。待望の2巻は2016年1月に刊行予定。(8・7刊、四六判二五六頁・本体九〇〇円・KADOKAWA、メディアファクトリー) ■大イチョウと村で生きる ▼ここで土になる ▼大西暢夫 いまから半世紀以上まえ、「五木の子守唄」で知られる熊本県五木村に、ダム建設の話がふってわいた。完成すれば、五木村の中心部とその周辺が水没してしまう。そんなたいへんな計画に、山仕事や畑仕事で生活をたてる村人は、五〇年ものあいだゆさぶられつづけてきた。そのあいだに、村人は立ち退き、移転地に引っ越していった。 「田口の大イチョウ」はずっと村のシンボルだった。樹齢五〇〇年とも六〇〇年ともいわれる大木である。工事が進み、家が取り壊されていく村で、最後まで残ったのは、この大イチョウと共同墓地、そして尾形さん夫婦である。カメラマンの大西暢夫氏は、夫妻の暮らしに寄りそいながら、村の暮らしを一枚一枚撮りつづけた。 巨大な橋げたが覆いかぶさって、大イチョウは植えかえが計画され、枝も根も切られて移動を待った。ところが、ダムの計画が止まったのである。尾形さんもずっと村にとどまることに決めた。大イチョウとともに、村を最後まで見守っていくことにしたのである。この本には、生きること、暮らすことの根をとらえた写真の数々が収められている。(10・25刊、25・2cm×19・2cm四〇頁・本体一四〇〇円・アリス館) ■クリスマスの歌の贈りもの ▼もりのせいかたい ▼つるみゆき え・ぶん もうすぐクリスマス。村の教会では、聖歌隊が歌の練習にはげんでいます。そして、みんなが帰ったあと、教会に森の動物たちがあつまってきました。「聖歌隊の歌、すてきだったね」「あんなふうに、うたってみたいなあ」。動物たちは、じぶんたちも歌ってみようと話し合いました。 修道院にひとりの女の子がいました。名前はノビスといいます。シスターになりたくて来たのですが、いつも失敗してばかりで、もうしょんぼり。そうだ、こんな時は神さまにお祈りしてみようと思ったノビスは、教会に入りました。するとどうでしょう。なかから動物たちの歌声が聞こえてくるではありませんか。 動物たちはノビスを見つけると、聖歌隊をやりたいから、歌を教えてほしいと頼みました。ノビスは、動物たちの思いがけない願いに、がぜんやる気が出てきます。 それから毎晩、ノビスは動物たちと歌の練習にはげみ、ついにクリスマスの夜、本番がやってきます。みんなの歌が村人たちにとどくまでを描いた、心あたたまるクリスマスの歌の贈りものです。(9・1刊、17cm×18・5cm二八頁・本体一〇〇〇円・サンパウロ) ■なかよしさんに会いに行こう ▼いちばんのなかよしさん ▼エリック・カール 作/アーサー・ビナード 訳 『はらぺこあおむし』で世界的に知られる絵本作家エリック・カールは、一枚の写真をずっと大事に持っていました。一九三二年六月、三歳のときに撮ったもので、女の子といっしょに写っています。その子は近所に住んでいた、いちばんのなかよしさんでした。八〇年間ずっとカールはその子に会いたいと思ってきました。そんな思いから生まれたのが、この絵本です。 なかよしってどんなことだろう。いっしょにボール遊びをしたり、追いかけっこをしたり、おどったり。でも、秘密をこっそりうちあけるようになったら、もうきっといちばんのなかよし。 そんななかよしさんが、ある日遠くへいってしまって、もう会えなくなってしまった。あんなになかよしだったのに……。そうだ、なかよしさんを探しに行こう! 川を越え、空を越え、山を越え、森を越えて、なかよしさんを探しに行こう。ずっとずっと会いたかった、女の子に会うまでの心と体のうごきを、色あざやかに描いた一冊です。(12月刊、31cm×24cm二五頁・本体一四〇〇円・偕成社) ■パーティーにご招待します ▼くまじいちゃんのクリスマス ▼やすいすえこ さく/いもとようこ え ほっこり山で暮らしている、くまじいちゃんに、なかよしのうさぎさん家族から手紙がとどきました。「クリスマスにあそびにきください。まっています」。 みんなに会いたいけど、雪山を越えて会いにいくのはなあ……。寒い冬に出ていくのは、くまじいちゃんにはとてもこたえます。それに、冬ごもりもしなくちゃいけない。どうしよう、どうしよう……。 でも、行ってみるか。そう決心して重い腰を上げ、くまじいちゃんは雪山をのぼっていきました。 するとどうでしょう。だいこうぶつのはちみつと、子うさぎの雪だるまが待っているではありませんか。はちみつをなめて、元気になったくまじいちゃんは、さらに歩きます。するとこんどは、子うさぎの雪だるまが、スケート靴をもって待っているではありませんか。 歩いていく先々で、思いがけないご招待が次々に待っています。こうして、ようやくたどりついたくまじいちゃんと、うさぎさん家族との、たのしいクリスマス・パーティーがはじまります。(97・10・1刊、26cm×23cm二四頁・本体一二〇〇円・女子パウロ会) |
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