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評者◆ベイベー関根
トーチ発! チョット恥ずかしい私のマン○をお見せします。
俗の金字塔
窓ハルカ
くも漫。
中川学
みちくさ日記
道草晴子
No.3232 ・ 2015年11月28日




■いよいよリイド社「トーチweb」発の単行本が出はじめたねー。いやこれがもう、楽しみで楽しみで。ということで、今回はそんな3冊を紹介するぜ!
 まずは窓ハルカ『俗の金字塔』。短編集なんだけど、ひとくちでいうと、出てくる人たちが全員ヘンタイ。それはマズいか、えーと、フツーじゃない方々?
 容姿端麗ながら異常に高飛車なゆかりと、彼女に肛門を調教された優等生っぽい野中、最初は野中が好きだったのにゆかりのカッコよさにすっかり心を奪われる後輩・美咲の奇妙な関係を描く表題作「俗の金字塔」。元芸人のキモヲタにヒドい扱いをされている美少女が、夜になるとそれをネタにキモヲタを虐める立場に逆転する「豚の夏焼き」。心を病んだJK(女子高生のことね、念のため)日鶴と、日鶴に元カレと間違われてつきあっちゃいそうながら、すでに彼女がいるので大揺れに揺れる大学生の男の子、同棲している彼をJKに奪われてしまうのではないかと気が気でない女子大生のお話、「どっきん?ラブぽいずん」など、どれもひと癖ありまくり。
 この手のマンガって、たいてい出オチっぽく終わるもんだけど、窓さんの場合はディテールに妙なリアリティがあって、読ませるなー。
 次、中川学『くも漫。』は、ニート時代くも膜下出血をやったときのことを描いた迫真のドキュメント。しかし、発症したときの場所がマズかった。風俗だったのだ! 闘病記としての面白さもさることながら、これを親類にどう隠しとおすかの攻防が、腹がよじれるほどおかしい! ぶきっちょそうな絵も味わいがあっていいですなあ。編集を担当している弟さんも作中に出演して(自分で絵を描いたり日記を公開したり)盛り上げております!
 最後は、道草晴子『みちくさ日記』。いやもう、webで読んでるころから涙が止まらぬ大傑作。13歳でちばてつや賞・優秀新人賞を受賞、将来を嘱望された作者が、14歳にして精神病院に入院、その後もよくなったり悪くなったり、いろんな人との出会いや別れを繰り返しながら、前を向いて生きていこうと決心するまでを綴ったマンガ。
 しかもコレ、終盤近くでわりととんでもないことがわかるんだよな、本人はさらりと描いているけど。そういうことが実際にあるのは知っていたけど、それで青春まるまるフイになっち
ゃう場を目の当たりにすると、さすがにちょっとショック……。絵はイタズラ描きみたいだけど、これがまた心に迫ってきますなー。
 造本も面白くて、フルカラー、カバーなし(これは書店にふつうに流通する本の場合、今や珍しい)、本文用紙が16ページごとに替わる(これは意味不明だけど)。1300円とちょっと高めに見えるかもしれないけど、これでこの後生きていけると思えば安いもんだ!「トーチweb」には、ほかにも大橋裕之やひらのりょうやドリヤス工房が連載してるけど、今回取り上げた人たちは、みんな少し恥ずかしそうだな……。







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