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評者◆竹原あき子
インター医科歯科学部図書館(Bibliotheque interuniversitaire de Sante,pole medecine‐odontologie)
No.3231 ・ 2015年11月21日




■フランスで最も古い医学の書籍収集はたった4人の薬の専門家の努力で1570年に始まり、パリの薬学部ができた1777年に図書館の形になった。それほど歴史があるこの図書館は、医学学校通り(rue de l’Ecole‐de‐Medecine)にある。もちろんここに医学部があったからだ。活字がなかった頃の手書きの書籍が1118冊、16世紀の書籍が3000冊、17世紀の書籍が6700冊と古典以上の稀少な本が並ぶ。
 めまいがするほど無限に広がる書籍に包まれた空間にいるだけで読書に駆り立てられるというより、本の美しさに見とれる。絵画や彫刻以上に身の回りにおきたくなるものが書籍ではないか、という思いもする。しかも上の階の背表紙のブルーがかった壁のような表情が不思議だ。手にとると、書籍ではなく論文集だった。なんとフランスで薬学が始まった研究書の1539年のものから現代まで、総数18万点の論文が背中を見せていた。フランスで資格を取得する論文から博士論文まで、医療関連の論文のコピーは必ずこの図書館に一部収録され、1985年以降の論文には直接アクセスできる。膨大な書籍と快適な机、そして緑がかった古典的な図書館独特のランプシェードのある空間には、だれもが自由に入ることが出来る。しかも、同じ建物の中に、医学博物館がひっそりとあり、図書館と博物館の共存が面白い。
(和光大学名誉教授・工業デザイナー)








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