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評者◆秋竜山
バカばっかりの世の中、の巻
No.3224 ・ 2015年09月26日




■梶原しげる『即答するバカ』(新潮新書、本体七〇〇円)では、即答について、いろいろな例をとってみる。バカばっかりの世の中。即答するバカがいる。即答してバカといわれるのは、その即答した内容が気にいられなかったのだろう。即答そのものはちっとも悪いとは思わない。答えるのにモタモタしていて、あげく気にいられない内容だったら、即答しないバカということになってしまうのだろうか。
 〈しゃべりの好感度の高い人を「(1)親しみやすく、(2)ユーモアがあり、(3)誠実で、(4)気配りと(5)分かりやすさにも優れ、(6)元気で(7)適度な知的さを持ち合わせている」と、仮に定義しておく。〉(本書より)
 そして、逆に好感度が低いのは次のようなセリフだろう。
 〈①「ヤベッ! これヤバいっすよ」(おいしいものを口に入れたあとに)、②「ゲ、スゲッ!」(驚いたときに)、③「いっぱい勇気と感動をもらいました」(イベント会場で感想を求められて)、④「結局、誰がなっても同じじゃないですか?」(投票間近のインタビューにて)、⑤「早く良くなってね」(見舞い先でどう考えても長期治療が避けられない重病の相手に)、(略)「しゃべりの好感度は極めて低い」という結果となる。偉そうに言う資格はないかもしれない。私も映画を見て「すごく良かった」としか言えなかったのだから。〉(本書より)
 テレビを観ていて、「ごちそう」番組などで、タレントの誰もが同じように「うまい!!」と、声を上げる。観ていて、また同じことをいっている。違ったいいかたもあるだろうに、と思ったりもする。」しかし、10人が10人とも「うまい!!」と、いう。「まずい」と、いったのを観たことがない。たとえ、まずくても、まずいとはいえないだろう。うまい!! と、いってしまうだろう。それが「ごちそう」番組というものであるから、即答するうまい!! でいいわけだ。リコウだからうまい!! と叫ぶのであって、バカなら、「まずい!!」と、叫ぶだろう。そう叫んだとたん、次の番組からは姿を消されてしまうはずである。それを知っているから、「うまい!!」と、叫ぶのだ。あたりまえのことだ。そんな、あたりまえのことに文句をいうほうがどうかしているだろう。〈なるほどの敬語表現?〉という項目がある。
 〈「なるほどですね」。これはすでに普及しすぎていて、「どこかおかしい?」と問題提起そのものが理解されない恐れがある。〉(本書より)
 「なるほどですね」の、どこが変なのか。ちっとも変と思わない。自分も使っているかもしれない。本書でいわれてみると、「なるほどですね」が妙な言葉に聞こえてくる。なるほど!! で、いいわけだ。それに「ですね」をつけるから妙な言葉になってしまうのである。子供の頃、遊び仲間での会話の中で、「なるぺそ」なんて、いった。「なるへそ」から、「なるぺそ」に進化したのだと思う。「なーるほど」なんてのもあった。「なんるほど」とも。いくらなんでも、大人の世界で「なるぺそ」なんてつかえない。一度つかってみたらどんな結果になるか。つかうだけの勇気がない。つかったらバカか。







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