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評者◆編集部
こどもの本棚
No.3224 ・ 2015年09月26日
■食といのちの関係をモノトーンの世界で描く
▼あひる ▼石川えりこ作 鉛筆の、ほぼ黒色で描かれたこの絵本には、石川さんの思想がすべて表現されている。絵だけでなく、文体も物語もすべて、ほぼモノトーンに近い世界に凝集されている。つまり原型的にだ。二人の姉弟の家にはニワトリ小屋があって一羽のオスと二羽のメスが飼われている。ある日学校から帰ると、そこに一羽のアヒルがいる。隣町のおじさんが持ってきてくれたのだ。アヒルは少し弱っている。そこで二人は近くの川に連れていって泳がせる。いくぶん元気が出たような気がしたが、つぎの日死んでしまった。夕方、おばあちゃんとお母さんが台所で、いいにおいをさせて料理をつくっている。お父さんをまじえて肉と野菜の煮物を楽しく味わった。弟が、あれ、あひるじゃないよね、と何度も聞く。私は黙っている。次の朝、ニワトリがいつものようにタマゴをうんでいる。毎日うんでくれるタマゴをごはんにかけたり、たまごやきや目玉やきにして食べる。そのニワトリは年をとってタマゴをうまなくなったら順番にしめて、時どきのおかずや、おまつりのときの特別なご馳走になる。そうやって私は大きくなったのだ。(7・19刊、B5変型判三二頁・本体一五〇〇円・くもん出版) ■ああなりたい こうなりたいという欲望 ▼ふしぎ駄菓子屋 銭天堂5 ▼廣嶋玲子作/jyajya絵 誰しもいまの自分に満足してはおらず、ああなりたい、こうなりたいという欲望を持っている。ふしぎ駄菓子屋・銭天堂で売っている缶ジュースや、がちゃがちゃのピンバッジにはその欲望を叶えてくれる不思議な力が宿っている。そんな駄菓子屋のおかみ、紅子はふとした偶然からその大事な商品が何者かによってすべて盗まれてしまったことに気づく。町ではジュースやピンバッジによって様々なひとたちが事件に巻き込まれてしまう。ちいさな子どもがなにも知らずにピンバッジを拾い、道端ではあやしげな男が缶ジュースを道行く人々に高値で売りつけている。必要な人間の手に渡るならばまだしも、なにも知らない人間の手に渡れば大事故につながりかねない。紅子は銭天堂の看板猫、墨丸とともに町中をさがして犯人を追い詰めていく。犯人の目的は、そして犯人はいったい何者なのか。果たして紅子は捕まえることができるのか。大人気シリーズ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」の5作目は連作短編仕立てのおはなしです。(9月刊、四六判一五〇頁・本体九〇〇円・偕成社) ■ちょうどいいってむずかしい ▼ふうせんいぬティニー あつがりうんてんしゅ ▼ふうせんいぬティニー製作委員会監修 ふうせんいぬのティニーは風に飛ばされてバルンおうこくにやってきました。そこはふうせんどうぶつたちの住む世界。車にも家にも、観覧車にだってふうせんがついています。おなじみの仲間たち、蝶ネクタイにひげがきまっているうさぎのラビィ、双子でそっくりなのにいつも反対のことばかりいってけんかをしているペンギンのペン&ギン。そして、「お腹が空いて元気がでない」が口ぐせのぶたのピギーと、いっつも怒っているのにいっつも不安なライオンのリオン。みんなでこの不思議なバルンおうこくにやってきて周りをみまわしているところに一台のふうせんタクシーが通りかかって「のっていくかい? おちびさんたち」と運転手のポーラおじさんが呼びとめました。ぎゅうぎゅうづめになってみんなで乗り込むとポーラおじさんはあつがって冷房を入れます。すると今度はさむくなって凍えてきました。ティニーたちはタクシーを降りて今度はバスに乗ることにしたのですが――。アニメも好評の「ふうせんいぬティニー」がアニメ絵本になりました。(7・15刊、18×19cm二八頁・本体九〇〇円・マガジンハウス) ■ウサギくんがわすれていたたいせつなこととは? ▼わけっこしよう ▼ティシュ・レイビー文/フランク・エンダースビィ絵/女子パウロ会訳編 〝しんじる〟というすてきな名前のウサギくんにはおともだちがたくさん。よくはれた春の日に、ウサギくんはおともだちのネズミちゃんをじぶんのうちにさそってあそぶことにしました。リスちゃん、スカンクくん、タヌキくんもやってきて、タンポポのわたげをとばしたり、まつぼっくりでおしろをつくったり。 そんなときネズミちゃんはぴかぴかひかるいしをみて、「ねえ、あのぴかぴかのいしであそんでいい?」といいました。そのいしは、ウサギくんもだいすき。だから、「だれにもあげたくない!」とおもいました。そこへとつぜんカササギさんがまいおりて、そのいしをくわえてとんでいってしまいました。ウサギくんはびっくり。けれども、おともだちはそれをとりもどすためにいっしょうけんめい。「だれにもあげたくない!」とおもってしまったウサギくんは、たいせつなことをわすれていたようです。たいせつなことってなんでしょう? ウサギくんにそっときいてみよう。(11・5・2刊、23・5×23・5〓二四頁・本体一二〇〇円・女子パウロ会) ■確かなものは、人間の手から生まれる ▼バムーと荒れ野の城 ▼山瀬邦子作/吉野晃希男絵 帽子職人の見習いバムーは、親方の言うことに反発して店から飛び出しました。親方のすることなすことが古くさく思え、自分を認めようとしてくれない態度に嫌気がさしたのです。港のある大きな街へと向かう途中にウルジャという荒れ野があります。広大な台地には、その昔人々が行き交う豊かな街があったのですが、度重なる戦によって街は焼かれ、今では崩れたお城の跡が残るだけの荒れ野になっています。そこでは妖精が出るとささやかれ、姿のない人の叫び声や馬のいななきがきこえるといったうわさが流れているのでした。荒れ野の入り口にあるドライブインに立ち寄ったバムーは、かつて妖精の国に行ったという靴職人のおじいさんに出会います。そこには恐ろしい緑色の目をした女がいて「石にされたくなかったら靴を作れ」と言われてただひたすらに靴を作り続けていたのだそうです。そんな話を信じることもなく、バムーは荒れ野に入っていくのですが――。確かなものは人間の心をこめた手から生まれるという大切なことを伝えてくれる物語です。(8・1刊、A5判八〇頁・本体一六〇〇円・銀の鈴社) ■おくる人のきもちもこめてツツミマス ▼ツツミマスさんと3つのおくりもの ▼こがしわかおり作 ツツミマスさんがまだ小さいころ、おじいちゃんからつつみがとどきました。はじめてつつみを見たツツミマスさんが、おそるおそるつつみをあけてみると、なかにはえりまきがはいっていました。うれしくってぞくぞくっとしたツツミマスさんは、あけてはまたつつみ、あけてはまたつつみ、すっかりつつむことにむちゅうに。大きくなったツツミマスさんはお店をひらきます。どんなものでもつつんでくれるお店です。かぜをひいたかたつむりのために、あさつゆをつつんでほしいトカゲ。ゆきむすめのたんじょうびにおくる花をつつんでほしいゆきおとこ。おきゃくさんはつぎつぎにやってきます。3ばんめのお客さんはなんとおばけ! ちいさな女の子のおばけから元気のないおばけのおじいさんへのおくりもの。でも女の子は、なにをおくればおじいさんが元気になるのかわかりません。いつもはつつむのがおしごとのツツミマスさんも、いっしょになっておくりものを考えます。そしてみつけたおくりものは――。つつむことはとってもだいじ。おくりものをする人のきもちは、つつみのなかみだけでなく、つつみにもこめられているからです。つつみがすてきだと、なかのおくりものも、もっともっとかがやきます。だからツツミマスさんはおくる人のきもちにあわせて、きょうもていねいにひとつひとつ、つつんでいきます。(7・21刊、A5判六四頁・本体一一〇〇円・小峰書店) |
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