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評者◆添田馨
「SEALDs」の言葉が素晴らしい――世界にただひとつのオリジナルな思想表明
No.3221 ・ 2015年09月05日




■7月に入ってから私は頻繁に国会議事堂前正面の北庭エリアへ出向くようになった。安保関連法案が衆議院で審議入りしたことを受け、学生を中心に集まったSEALDsの人たちと一緒に、私も抗議の声をあげるためである。彼等は毎週金曜日の夜、国会前で抗議のアピールを行っている。中心メンバーの奥田君や紅子さんの他に、毎回、ゲストスピーカーとして政治家や学者、著名人等がスピーチしたり、SEALDsのメンバー自身によるスピーチが読み上げられたりする。
 もともとは6月27日の「戦争法案に反対するハチ公前アピール街宣」で、彼らの声を初めて生で聴いたのがきっかけだった。その時、スピーカーとしてマイクを握った大学4年生・福田さんの「私は本気だからです」の一言に、私は魂を撃たれてしまったのだ。
 なにより私が彼等を素晴らしいと思うのは、その言葉においてである。私が知っている昔の学生運動家たちのアジ演説などとは根本的に違う。彼らの語る言葉はアジテーションでもプロパガンダでもない。発言者ひとりひとりが自ら考え、それを自分の言葉でしっかりと表現した、世界にただひとつのオリジナルな思想表明なのだ。スピーチの最後は、日付と自分の名前、そして「私は戦争法案に反対します!」で締め括られる。
 それだけではない。この金曜日の国会前抗議でのシュプレヒコールがまた素晴らしい。特に午後9時を回ったあたりから終了までの、ハイテンポでつぎつぎ畳み掛けるような複数メンバーによるコールには、いつも鳥肌が立つ思いがする。
 あの場所に集った全員が不思議な一体感に包まれて、状況が絶望的でも、何かしら希望の芽のようなものをそれぞれが共有して帰るということが続いている。午後7時過ぎから立ちっぱなしなので正直疲れる。途中で離脱する人も多いのだが、SEALDsのコールの凄さを知りたい方は、是非最後まで残られることをお奨めする。その場にいなければ絶対感じられないことがあると信じるからである。







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