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評者◆添田馨
強行採決に回った議員たちへ――個人としてなぜ声をあげない?
No.3217 ・ 2015年08月01日




■本日(7月15日)安保関連法案の強行採決が行われた。わが国の立憲民主主義はひとつの大きな節目を迎えることになった。
 TVで採決時の国会内の様子を見て、心底から寒々しい思いに囚われた。まさに嘘と誤魔化しと傲慢だけで出来ている安倍政権の本性が剥き出しになった瞬間だった。あの光景を私は決して忘れまい。あのような茶番劇で国の運命が根底から変えられてしまう、本当にそれでいいのか?
 私は不思議でならない。誰がみても違憲可能性が濃厚な今回の法案に、なぜ自公の国会議員から疑問や反対の声が一切あがらないのか。国会議員になるくらいの人間なら、少なくとも自分の頭で物事を考え、それを自分の言葉で表現できる最低限の素養くらいは持ち合わせているはずだろう。つまり、これだけ多くの学者や市民が反対しているということは、それだけの明確な根拠と民意の集積があるわけで、それを与党の国会議員たち全員が全員ともまったく共有していないなどということはあり得ない。今回の安保法案の中身や審議の過程が、どう考えてもおかしいと思っている議員が一人もいないはずがない。
 ならばそういう人たちに言いたい。君たちは〝おかしい〟と党執行部に対し抗議の声をあげるべきではないのか? 自分で考える頭があって、自分の固有の考えがあって、それが党執行部の方針と相容れないなら、はっきりと反対表明をすべきではないのか?
 党議拘束? 冗談はよしてくれ。君たちはそれぞれが個人名で立候補し、個人名で投票されて当選した立派な議員ではないか。選挙民たちは、案山子に投票したわけではなく、君という人間に投票したのだ。自分は比例区で当選したから関係ない? ふざけてはいけない。長いものに巻かれるのが信条なら、議員なんか辞めればいい。頭数そろえるだけが民主主義なら、案山子を持って来ればそれで用は足りるのだ。
 君たちの沈黙は、アレントが言う〝凡庸な悪〟のまさに現代版に他ならない。







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