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評者◆秋竜山
やっぱり人間は不思議な動物だ、の巻
No.3212 ・ 2015年06月27日
■ガサゴソといえばゴキブリ。ゴキブリはこの音で命をおとす。キジもなかずばうたれまいに、いや、ゴキブリもうたれまいが。私は人間である。だから、仕方がない!!というようないいわけをしてゴキブリを殺す。これが運命であるとは、あまりにも人間という動物はゴーマンきわまりない。だから……と、いうわけでもないけど、私は必ずゴキブリに因果をふくめる。ゴキブリにとっては、ふざけたことをいうな!! で、あろう。「スマン!! 悪く思わないでくれ……」とは、これいかに、だ。殺しておいてからに、「今度、生まれてくる時は、絶対に人間に生まれてくるんだよ。わかったね」。こんな因果をふくめて、なんになろうか。だったら殺すな!! と、ゴキブリにかわっていってやる。ゴキブリはいうだろう。「なぜ、人間に生まれてくるんだ。人間に生まれてくると殺す側になれるとでもいうのか。殺す側にまわって、ゴキブリを殺せとでもいうのか」。
夢枕獏『人間って何ですか?』(集英社新書、本体七二〇円)では、〈「人間」という究極の不思議を解き明かす!〉と、いう本書のオビ。夢枕獏さんが、その道の達人たちと、人間について語り合う。面白対談の中から浮かびあがる人間像。やっぱり人間とは不思議な動物だ。第一章から第九章まで、人間って何ですか? と、本のタイトル通りに夢枕獏さんが聞く。〈第一章「ヒトに自由意志はあるのか 脳研究者・池谷裕二〉では〈「年をとると記憶力が衰える」は先入観〉という項目。 〈池谷 (略)二歳からあとは、神経細胞の数はほとんど変化しないです。もちろん死ぬまでには少しは数が落ちるのでしょうけれども、全体から見たら微々たるもので「一生減らない」と言いきってもいいくらいです。 夢枕 なんだ。間違った認識を抱いていたな。〉(本書より) 記憶力が年をとるにしたがってガタガタおちるというけれど、そんなことはないという。そんなことないですよ「記憶力はかくじつにおちます」 なんて、反論してなにになる。専門家が、おちないといっているんだから、ね。 〈池谷 確かに神経細胞の数は生まれた瞬間が一番多いのです。でも、徐々に減っていくのではなくて、二歳になるまでの間に、なんと、生まれ持った神経細胞の約七割を殺してしまいます。逆に、二歳からあとは、神経細胞の数はほとんど変化しないのです。(略)〉(本書より) うれしいような、うれしくないような。 〈考えることだけだったらほかの動物でもできます。(略)ではヒトの特徴は何だろうかと考えたら、多分「「人間とは何か」ということを考えること」かなと。(略)つまり「疑問力」です。〉(本書より) 人間でありながら人間とは何か? と、ギモンを持つ。ゴキブリは自分がゴキブリであることをわかっているだろうか。そして、なぜ人間に殺されなければならないのか「疑問力」を持っていないだろうか。人間とゴキブリの間の悲劇は両者、会話ができないということである。宇宙人と人間との間のレベルのようなものだ!! と、聞いたことがあるが、宇宙人からしたら人間はゴキブリのようなもの、とか。 |
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